●『宙に浮く首』 太下宇陀児 春陽文庫 読了。
表題作「宙に浮く首」と「たそがれの怪人」とがそれぞれ約七十ページ、「画家の娘」が二十ページちょいという三編が収録されている。表題作は奇妙な作品。序盤で起きた殺人の謎が放置されたまま、物語の焦点は失踪事件の謎へ、そして事件に取り組む探偵の正体に関する謎へと移ってゆく。途中でひょいっと四年が経過したり、どうも茫洋としている。真相はグロテスクでトンチキ。件の探偵の設定も、どうしてそんな方向へ、と思う。なんだこりゃ。
残りの二編についてはノーコメント。どうもまだ大下宇陀児の「読み方」がよく分かっていない。どのように面白がればいいのか。