●『ハートの4』 E・クイーン ハヤカワ文庫 読了。
メロドラマ色が強く、中盤までなかなか物語に乗れなかった。殺人が起きて捜査が進められるようになるとじわじわと面白くなるが、なおもちょちょい挟まれる惚れたハレたのせいで冷静になる。とはいうものの、読後感は概ね満足。(伏字)という動機が面白い。なるほどこれがやりたかったのか、と思う。
動機に直結する犯人の属性が、最後の最後になっていきなり出てきてあれれれと思ったが、これは私の読み落とし。後戻りしていろいろ探してみると、かなり早い段階でその情報がさらりと書かれていたのであった。活字は眼に入っていたはずだが、全く頭に残っていなかった。この書き方にはちょっと感心した。
(伏字)ことで犯人を嫌疑の対象外に置く手法は、作者がそう書いたからそうなったというタイプで、ちょいとずるいなあと思う。一応手がかりが書かれてはいるけれども。深読みし過ぎかもしれんが、この手がかりに関しては某人物の設定も上手く機能している。これ以上は公開では書けない。
●これでクイーンの長編は一通り読み終えた。短編も読み尽くしたつもりでいるのだが、もしかして抜けがあるかもしれない。それは分からない。
●お願いしていた本が届いた。
『烏啼天駆全集』 海野十三 探偵趣味選書
『『怪奇雑誌』剽窃小説選』 探偵趣味選書
●古本を買った。
『戦士を狩れ』 R・ポッツ 二見文庫
特殊戦闘能力を持った人間が暴れまわるという、「ランボー」の系譜に連なるアクション小説である。以前読んで手放したのを、なんとなく再読したくなって探していた。
●新刊を買った。
『桃源亭へようこそ』 陳舜臣 徳間文庫
『死仮面[オリジナル版]』 横溝正史 春陽文庫
『盲目の目撃者』 甲賀三郎 春陽文庫
春陽文庫の今後の展開に、大いに期待したい。