名探偵星影龍三全集の第一巻である。「消えた奇術師」と「妖塔記」とは、悪くはないのだがなにしろ二十ページしかなく、どうにもあっけない。やはりこういうタイプのミステリは、ある程度描写と情報とを積み重ねていった方が面白くなる。
表題作「赤い密室」はさすがの傑作。手の込んだ犯罪であるにもかかわらず、真相解明部分の記述は明解である。複雑なシンプルさとでもいうべき犯罪がお見事。「呪縛再現」は八十ページほどの中編なのに、長編を読んだような満足感がある。途中で話のトーンががらりと変わる部分があれれれと思うけれども、前半後半ともにミステリの妙味横溢である。
●注文していた本が届いた。
『悪魔の賭/京都旅行殺人事件』 日下三蔵編 春陽堂書店
合作探偵小説コレクション第八巻である。このシリーズもこれで完結で、目出度い。
完結キャンペーンとして、春陽文庫の既刊から一冊いただけるというので選んだ本も同封されていた。ありがとうございます。
『女人国伝奇』 山田風太郎 春陽文庫
●別口で注文していた本が届いた。
『南幸夫探偵小説集』 コロッケ出版
今後の出版活動が楽しみである。