●『巨匠の選択』 L・ブロック編 ポケミス 読了。
ローレンス・ブロック本人を含む九人の人気作家が、自作と他の作家の作品とからそれぞれお気に入りを一編ずつ選んだという趣向のアンソロジー。どうも、私の趣味とはあまり合わなかった。犯罪小説や、犯罪を題材にして人間を描くといった非ミステリ風の作品が多い。今のアメリカミステリってこういうのが主流なんだろうか。
そんななかで気に入った作品は多くない。展開の仕込みや起伏で読ませるピーター・ラヴゼイ「ミス・オイスター・ブラウンの犯罪」と、ドナルド・E・ウェストレイク「悪党どもが多すぎる」と。切れ味がお見事なジュディス・ガーナ―「いたずらか、ごちそうか」と、W・F・ハーヴェイ「八月の熱波」と。収録されている十八作のうち、名前を挙げたくなるのはこのくらいであった。