累風庵閑日録

本と日常の徒然

『江戸川乱歩座談』中公文庫

倉敷市の毎年のイベント「1000人の金田一耕助」に参加してきた。それはいいのだが、初っ端から軽いトラブル発生。土曜の朝、新幹線が遅れてオープニングに間に合わなくなった。少々焦ったけれども、運営殿が集合場所から撤収する前には到着できて、結果的には大勢に影響せず。ちょっとだけ残念だったのが、開会前に他の参加者の皆様達とお喋りしたり写真を撮りあったりができなかった。その後は恙なく例年通りの千金であった。詳細は参加した人達だけのお楽しみ。

●メインイベントを終え意見交換会を終えて解散。倉敷駅に戻る組は、運営殿に手配していただいた大型バスに乗り込む。いったん駅前のホテルにチェックインした後、一息ついてすぐに二次会である。ここで特別ゲストの某氏とお話しできたのは上出来であった。さらに数人で三次会へと流れる。結局一時頃まで、大いに飲みかつ語って、濃密な倉敷の夜が更けてゆく。

●行きの新幹線で『江戸川乱歩座談』中公文庫 を読了。

 本格探偵小説を好む知識階級を高級な読者と位置付け、今後はさらに探偵小説全般の裾野を広げるために、程度を下げて八つぁん熊さんにでも取付き易い簡易な言葉で平易な謎の探偵小説を書いてはどうか。ってなことを本気で語っているのが、いろいろ凄いと思う。

 個人的に最も興味があったのが、「「新青年」歴代編集長座談会」である。横溝正史が当時の思い出を語って楽しそうなのが微笑ましい。昭和三年、横溝正史が「新青年」の編集を延原謙にバトンタッチして「文芸倶楽部」に移ったという話が出た。

 文芸倶楽部に関しては、永遠に解決しない課題がある。徳間書店の『横溝正史の世界』によれば、昭和三年の怪談特集号に、横溝正史が別名義で口述した新作怪談が掲載されているという。それがどれかは判明しないだろうが、実物を手に取ってみたくはある。該当する号は三康図書館に所蔵されているようだ。いつか折を見て行ってみたい。

●帰宅途中に書店に寄って本を買う。
『遺体鑑定医 加賀谷千夏の解剖リスト』 小松亜由美 角川文庫