累風庵閑日録

本と日常の徒然

『コーディネーター』 A・ヨーク 論創社

●『コーディネーター』 A・ヨーク 論創社 読了。

 英国政府お抱えの暗殺者が主人公のスパイ・アクション。静から動への急激な変化がお見事。それまで穏当に進んでいた物語がある瞬間、いきなりアクセルをベタ踏みしてフルスピードで突っ走り始める。途中のツイストも敵の野望もいかにもエンターテイメント小説らしく、「分かってらっしゃる感」があって楽しい。武器を使わず素手で殺人任務をこなす主人公の設定も面白い。

 手に取ったタイミングがよかった。公開日記には書いてないが、最近はレンタルDVDでスパイ・アクション映画をちょいちょい観ている。『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』、『コードネーム U.N.C.L.E.』、『キングスマン』なんてのを。また、去年から007シリーズを順番に観ており、現在『私を愛したスパイ』までたどり着いている。という訳で、たまたま私の中でタイムリーな題材なのである。本書はこういった映画に比べたらずっと大人しいが、結論として読んで損はなかった。