2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧
●今月の総括。買った本:十二冊読んだ本:十冊 もう一冊読むだけの時間はあったのだが、もう一冊読むだけの集中力が残っていなかった。頭を休ませる日を設けた後で読み始めた長編は、明日には読了できる。
●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第十七回として、第四巻を読み始める。今回は、「危険!」を表題作とする全十編収録の短編集を読む。ただし冒頭の「訳者の言葉」によると、そのうちの一編はなぜか第七巻に収録されているという。というわけ…
●『オルレアンの魔女』 稲羽白菟 二見書房 読了。 メインとなる舞台はカンヌというから、イタリア国境にほど近い場所である。題材はオペラ、起きる事件はちと血液多め。となると自然に、血液多めのホラー映画を連想してしまう。イタリア、バレエ、血液多めと…
●『シャーロック・ホームズの失われた災難』 J・マキューラス他編 原書房 読了。 クイーン編のアンソロジー「シャーロック・ホームズの災難」に、様々な理由から採用されなかったホームズパロディやパスティシュを集めた作品集である。 歴史的アンソロジー…
●『中国黄金殺人事件』 R・V・フーリック 三省堂 読了。 互いに関係があるようなないような複数の事件が、同時並行で語られる。それぞれをただ解決するだけではなく、意外な方向に発展させてから最後はきちんと決着を付けてみせる作者の構成力がお見事。 …
●『ダーク・デイズ』 H・コンウェイ 論創社 読了。 主人公が過去を回想した手記という体裁である。彼がなかなか熱い人物で、ほとばしる感情を叩き付けるように記している。文章の熱量がただ事ではない。ヒロインがこれまた感情が強く、主人公の熱に熱を加え…
●『子供たちの探偵簿2 昼の巻』 仁木悦子 出版芸術社 読了。 収録作中のベストは「倉の中の実験」で、本好きの登場人物の顛末が身につまされるし、奇妙な展開も記憶に残る。他に気に入った作品は、伏線と構成とに感心した「うさぎを飼う男」と「悪漢追跡せ…
●『邪悪の家』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 真相は、早い段階でふと思い浮かんだので意外さを感じなかった。随分素直なミステリだと思ってしまう。騙された方が楽しめただろう。 読者を迷わす構造として、(伏字)ことがちょっと面白い。ポア…
●『結婚って何さ』 笹沢左保 講談社文庫 読了。 密室殺人がからむ巻き込まれ型サスペンス、と思っていたら意外なほどの広がりを見せる。展開に起伏があってすいすい読めるし、(伏字)ネタの真相には満足。伏線のさりげなさも気に入った。 読んでいる間は、…
●『リュパンの冒険』 M・ルブラン 創元推理文庫 読了。 リュパンシリーズはあまり読んでいないのだが、そんな状態でイメージするいかにもシリーズらしい味わいである。実際、巻末解説にも「リュパン物語の特色をすべて盛り合わせた観」とある。この小説は戯…
●『毒の神託』 P・ディキンスン 原書房 読了。 よくもまあ、これだけ設定を作り込んだものだ。独自の言語と文化とを持つ架空の沼族、単語カードによって人間と意思疎通ができるチンパンジー、奇妙な宮殿に住む砂漠の王族。主人公のイギリス人と、これら異文…
●『蛇は嗤う』 S・ギルラス 長崎出版 読了。 舞台は北アフリカのタンジール。馴染みのない土地の魅力はあるが、中盤までの展開は割と平板。ところが事件が起きてからは快調に読める。伏線も意外性の演出も上々だし、いろいろな要素が納まるべきところに収ま…