累風庵閑日録

本と日常の徒然

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

菊水江戸日記

●書店に出かけて本を買う。『菊水江戸日記』 横溝正史 春陽文庫『くろて団は名探偵』 H・J・プレス 岩波少年文庫 ●今月の総括。買った本:十三冊読んだ本:十一冊

『別冊・幻影城 NO.7 高木彬光』

●『別冊・幻影城 NO.7 高木彬光』 読了。 「誘拐」 犯人の計画に感心した。これはいい。読んでいる途中は、(伏字)要素がちと興醒めであった。だが、その部分にもきちんと神経が行き届いていることが分かって、なおのこと関心する。私好みの、警察の地…

『七之助捕物帖 第三巻』 納言恭平 捕物出版

●『七之助捕物帖 第三巻』 納言恭平 捕物出版 読了。 長くても二十ページ少々の作品ばかりなので、伏線とロジックとを練り込むには短すぎる。かといって捻りと切れ味とで勝負する作風でもなし。ミステリ的な小ネタがちょいちょい盛り込まれてはいるのだが、…

『ドイル全集8』 C・ドイル 改造社

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの最終回、第四十回として、第八巻で読み残していた「爐邊物語」後半の六編百ページほどを読んだ。そのうち四編は再読だったし、初読の「B二十四號」もストレートすぎる展開でさして感銘を受けず。せっかくの…

『黒猫になった教授』 A・B・コックス 論創社

●『黒猫になった教授』 A・B・コックス 論創社 読了。 こりゃあ面白い。明るく軽快な展開に、この先どうなるかの興味とともに流されていけばいい作品である。なにより題名になっている黒猫がいい感じ。天才的な生物学者リッジリー博士が自らの理論に基づい…

『新青年傑作選 第三巻 恐怖・ユーモア小説編』 中島河太郎編 立風書房

●『新青年傑作選 第三巻 恐怖・ユーモア小説編』 中島河太郎編 立風書房 読了。 暗く、ねちこく、湿っぽい作品はどうも好みではない。コメントを付けたい作品は多くはない。江戸川乱歩「陰獣」はもう何度も読んでいるが、やはりつくづく感心する。昭和三年に…

『殺す者と殺される者』 H・マクロイ 創元推理文庫

●『殺す者と殺される者』 H・マクロイ 創元推理文庫 読了。 中盤過ぎまでは、言っちゃあ悪いがありきたりのサスペンスである。急な予定変更で早く帰宅した夫を、不審者と間違えて射殺した妻。だが、彼女は本当に屋敷に侵入してきた人物を夫だと気付かなかっ…

『善意の殺人』 R・ハル 原書房

●『善意の殺人』 R・ハル 原書房 読了。 犯人は誰か、という興味にあまり重点を置かず、(伏字)という点が意外性のキモである特異なミステリ。この特異さは、なるほど面白いことを考えたものですねえとは思う。思うが、結局は読み終えても平熱であった。な…

『阿呆旅行』 江國滋 中公文庫

●『阿呆旅行』 江國滋 中公文庫 読了。 五十年ほど前に雑誌連載された紀行文集である。なんとも滋味深い老成した文章で、これを三十六歳で書いたのかと驚く。でも実は、なんら驚くことではないのかもしれない。人の外見を考えても、今と昔とでは年齢に応じた…

特別開催横溝正史読書会『夜光虫』

●新大阪駅にほど近い貸会議室で、横溝正史ファンイベント『横溝正史発表会&読書会』が開催された。参加者及びスタッフ総勢四十二名という盛況であった。その第二部が「『夜光虫』読書会」である。いつもは参加者のみで小ぢんまりと運営している読書会なのだ…

『ファラデー家の殺人』 M・アリンガム 論創社

●『ファラデー家の殺人』 M・アリンガム 論創社 読了。 犯人の設定が上出来で、もうこれだけで満足。動機が(伏字)というのは、読者が真相に近づくのにかなり高いハードルだと思わないでもないが、まあ些細なことである。もうひとつ、ファラデー家の面々が…

『完全犯罪大百科(上)』 E・クイーン編 創元推理文庫

●『完全犯罪大百科(上)』 E・クイーン編 創元推理文庫 読了。 収録されているのは十九世紀末から前世紀半ばまでの作品だし、扱われている犯罪は殺人が少なく泥棒や詐欺が多いしで、全体的に素朴で長閑な味わいである。たまにはこういうのもいい。 特に面…

『死への祈り』 L・ブロック 二見文庫

●『死への祈り』 L・ブロック 二見文庫 読了。 表面的には解決したことになっている事件。その裏に潜む殺人鬼に、マット・スカダーが挑む。事件そのものは殺伐としてハードなものだが、展開には本格ミステリの匂いがちょいちょい漂う。犯人の計画もそれっぽ…