2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧
●今月の総括。買った本:十六冊読んだ本:十二冊 短編ひとつで独立の冊子になっているものをそれぞれ一冊と数えた。いずれそんな冊子を読む場合には一日で三冊も四冊も読む勘定になるから、収支は合っている。
●『怪力男デクノボーの秘密』 F・グルーバー 論創社 読了。 このシリーズもすっかりお馴染みだから、読むときの呼吸のようなものも分かっている。ジョニーとサムとが巻き込まれるゴタゴタを、気楽に楽しめばいいのだ。スピーディーな展開こそが身上である。…
●『リュパン対ホームズ』 M・ルブラン 創元推理文庫 読了。 怪盗対名探偵という基本設定に沿って、いかにもそれらしい展開が繰り広げられる。ルブラン初めての長編だそうで、内容は複数の中編をつなぎ合わせたようなぎこちなさがあるけれども。その辺りのユ…
●『五匹の子豚』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 早い段階で、事件の枠組みが提示される。五人の中に犯人がいる。さてそこで期待するのは、クリスティーがどのような意外性を演出してくれるかである。枠組みの中に意外な犯人を潜ませているのか、…
●『横溝正史探偵小説選IV』 論創社 読了。 贔屓にしている作家だけあって、やはり横溝正史は読んでいて楽しい。全体はおおまかに三部構成になっており、第一部は黒門町伝七捕物帳の六話である。特に気に入ったのは以下の作品。 短いページに複雑なストーリ…
●『大河内常平探偵小説選I』 論創社 読了。 途中で別の本を挟んだので、手に取ってから読了までに一週間もかかってしまった。 全六話で構成される連作短編シリーズ「夜光る顔」は、B級テイストが強くて読み口は軽い。だが意外なほどミステリの趣向も濃くて…
●『ドイル全集1』 C・ドイル 改造社 読了。 「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第六回にして、ようやく第一巻を読み終えた。今回は第一巻の収録作から「最後の挨拶」の後半四編を読む。今更だから感想は無し。一編だけ、「魔の足」は発端の怪…
●『灰色の部屋』 E・フィルポッツ 創元推理文庫 読了。 登場人物達の台詞が、やけに大仰でまどろっこしい。なにかってえと抽象的な議論を戦わせるのが面倒くさい。神だの霊だの信仰だの理性だの、そんな話に付き合ってられるかよ、という気になる。読み終え…
●書店に寄って本を買う。 『吸血鬼飼育法 完全版』 都筑道夫 ちくま文庫 『アラバスターの手』 A・N・L・マンビー 国書刊行会 ●日曜から読み始めた論創社をいったん中断して、今日から別の本に手を付けた。けれどどうもこの本、悪い意味で文章が古風なの…
●『踊る白馬の秘密』 M・スチュアート 論創社 読了。 動物ミステリという括りがあるだろう。犬ミステリだとか猫ミステリだとか。本書は馬ミステリの佳品である。中盤で、テーマが明確になってくるシーンにぐっとくる。 展開は、ジュブナイルのサスペンスを…
●『サイモン・アークの事件簿V』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。 個人的ベストは「パーク・アヴェニューに住む魔女」で、ガラス張りの回転ドアにひとり閉じ込められた男が殺される。その手段にちょいと感心した。もう一作、これも不可能犯罪でカーが書…
●『大あたり殺人事件』 C・ライス ハヤカワ文庫 読了。 スピーディーな展開と個性的な登場人物とが読み所。人物ならばたとえば、やたらと写真を撮りたがるペンドリイに、やたらと酔い潰れてしまうロス。特に、酩酊したロスと彼から事件に関する情報を聞き出…
●『ドイル傑作選I』 A・C・ドイル 翔泳社 読了。 副題に「ミステリー篇」とある。全体が三部構成になっており、まずは「ホームズ外伝」の部。戯曲「まだらの紐」は言ってみれば再話のようなもので、小説版に無いエピソードがちょいちょい追加されている。…
●『梅原北明探偵小説選』 論創社 読了。 長編「特急「亜細亜」」は、思いがけない拾いものであった。発表が昭和十三年だというから、べったりとこびり付いた時局臭に辟易させられるかと心配していたのだが、実際読んでみるとさほどでもなかった。 序盤は、機…