2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧
●今月の総括。買った本:八冊読んだ本:十一冊 去年の十月からコマ切れに読んできたドイル全集第二巻を読了できたことで、プラス一冊である。
●『ドイル全集2』 C・ドイル 改造社 読了。 「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第十一回として、第二巻で残っていた「スターク・マンロオの手紙」を読んだ。青年医師が独り立ちしようとして人生に苦闘する、手紙形式の物語である。どうやらド…
●『飛鳥高探偵小説選IV』 論創社 読了。 メインの長編「青いリボンの誘惑」は、胸に染みる良作。複雑な人間関係をじっくりゆっくり解きほぐしてゆくうちに、様々な人達の様々な想いが浮かび上がってくる。 他にいくつかコメントを付けるならばまずは「去り…
●『寝台急行「昭和」行き』 関川夏央 中公文庫 読了。 鉄道旅行を題材に、昭和時代の来し方に思いを馳せる紀行エッセイである。読んでいると私自身の幼少期の記憶が刺激されて、地元ローカル線の風景が浮かんでくる。遠い国鉄時代の、木造駅舎とディーゼルカ…
●『修羅櫻』 桃源社 読了。 合作時代活劇である。共著者として背表紙に名を連ねているのは、江戸川乱歩、角田喜久雄、城昌幸、陣出達朗、村上元三の五人。ところが奥付に著者としてあるのは陣出達朗のみ。実際は合作ではなく陣出の単著で、他の共作者は名義…
●『死のチェックメイト』 E・C・R・ロラック 長崎出版 読了。 事件も展開も地味。登場人物達の個性で読ませる作品である。関係者によるディスカッションが何度か行われるが、ごりごりにロジックで真相を追及するのではなく、事件にまつわる四方山話といっ…
●『十三の階段』 山田風太郎 出版芸術社 読了。 山田風太郎コレクションの第三巻である。風太郎が関わった連作ミステリを全て収録したという。本書はまず第一に、こんな珍品の数々を読めることに大きな意義がある。 収録作中のベストは「怪盗七面相」。同じ…
●『息子殺し』 R・ウィンザー カッパノベルス 読了。 原題の直訳は「三つの殺人動機」だそうで。作者の力点は、動機を含めた人間の情念を書くことにあるのだろうか。結末で出来上がった絵柄には関係者の様々な想いが絡みあっていて、小説を読み終えた満足感…
●『藤原宰太郎探偵小説選』 論創社 読了。 熱意先行型のマニアさんが書いた作品には、題材を詰め込み過ぎてページ数とのバランスが取れなくなっている例がちょいちょい見受けられる。ところがこの作者はそうではない。ページ数に応じた過不足のない題材でも…
●『怪盗ニック全仕事1』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。 こういう、明るく軽快な作品集は久しぶり。さくさく読めて上々である。「真鍮の文字を盗め」は作りすぎという気がしないでもないが、出来上がった絵柄が上手く納まっている。「邪悪な劇場切符を…
●何人ものお方にご協力いただいた同人誌『ネタバレ全開! 横溝正史読書会レポート集』が完成した。内容は題名の通りで、過去に開催した横溝正史読書会のレポートである。想定読者を対象作品読了済みの人間に限定して、これまた題名にあるようにネタバレ全開…
●『岩田賛探偵小説選』 論創社 読了。 探偵が、結末で初めて読者に示される手がかりに基いて真相を見抜く展開がやけに多い。ページ数の都合があるだろうし、戦後すぐのこの時代だったら普通の書き方だったのかもしれんが、後出しの作品が続くと読んでいて冷…
●『踊り子の死』 J・マゴーン 創元推理文庫 読了。 大量の伏線が嬉しい。初読の者が途中で気付ける性質の伏線ではないけれども、最後になっていちいち後戻りして確かめる作業が楽しい。 物語の進展にしたがって容疑者がくるくると変わってゆく。その中で、…