2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧
●『妖説地獄谷』 高木彬光 春陽文庫 読了。 ゴキゲンな伝奇小説であった。内容は分かりやすく展開が速くて、サクサク読める。おまけに文字が大きいこともあって、予定より早い読了となった。大勢の人々がかつ出会いかつ別れ、あるいは敵対しあるいは手を結び…
●創元推理文庫の戸板康二を半分まで読んで中断。感想は通読してから。明日からは上下巻トータル七百ページ以上ある本を読み始める。私のペースだと読了まで早くとも五日かかるので、日記の更新はそれまで一時停止します。あしからず。
●『コールド・バック』 H・コンウェイ 論創社 読了。 基本はメロドラマ。精神に変調を来している妻の、過去の真実を探るために主人公が旅に出る。十九世紀の小説にしては文章が簡潔で読みやすい。おかげで主人公の感情の起伏が素直に伝わってくる。この点は…
●『第八の日』 E・クイーン ハヤカワ文庫 読了。 言葉に対する執拗なまでのこだわりが、いかにもクイーンらしい。そのこだわりは書かれた言葉にも話された言葉にも及ぶ。書かれた言葉については、終盤のとあるネタの放つ皮肉が強烈。話された言葉については…
●『紅鶴提燈』 島本春雄 捕物出版 読了。 振袖小姓捕物控の第二巻である。第一巻を読んだ経験から、期待値をかなり下げて臨んだ。少々いい加減でもずっこけていても、どんとこいである。物語の途中で発生する殺しは本筋とはなんの関係もなかった、なんて真相…
●東京文学フリマで、出店者殿のお手伝いとして売り子をやってきた。それはそれとして、会場で買った本。『海底宝窟 完全版』 押川春浪 盛林堂ミステリアス文庫『地獄の門 完全版』 M・ルヴェル エニグマティカ叢書『鼠小僧次郎吉』 国枝史郎 書肆銀月亭『横…
●今月上旬から細切れに読んでいる短編集がしんどい。ハチャメチャで特濃で、わずか二十数ページの一編を読めばもう満腹し、胸焼けし、食傷する。二編目に取りかかる手が止まる。到底続けざまに読めるものではない。明日は丸一日のイベントだから読めないし、…
●『鏡は横にひび割れて』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 初読なのだが、ネタは既に知っていた。その昔、映画「クリスタル殺人事件」を観てしまったのだった。ネタを知らずに読む楽しみは得られなかったが、それとは別の、ネタを知って読む楽しみ…
●『第四の扉』 P・アルテ ポケミス 読了。 不可能興味やオカルト趣味てんこ盛りで、なんともにぎやか。読んでいる間は面白かったのだが、読了後の結論としてはどうも厳しい。真相には多くの要素が盛り込まれている。すなわち(伏字)。これらのどれを取って…
●映画「人形佐七捕物帖 闇に笑う鉄仮面」を観た。南蛮諸道具扱いの内海屋が売り出した簪が大評判。あまりの売れ行きに追加の品を取りに行った番頭が、土蔵内で殺された。重量のある西洋の長剣で串刺しという、異様な殺し方である。当時正体不明の浪人が付近…
●『神様のたまご』 稲葉白菟 文春文庫 読了。 「下北沢センナリ劇場の事件簿」という副題が付いている。文庫書き下ろしだそうで。このシリーズでは、探偵が真相にたどり着くに際して論理よりも知識の方が大きなウェイトを占めているようだ。 特に気に入った…
●『毒薬の小壜』 C・アームストロング ハヤカワ文庫 読了。 前半は、主人公の生い立ちと人となりとが丁寧に描かれる。並行して、彼が様々なことをぐるぐる考える様子も描かれる。後半になってようやく物語が動きだしてからは、前半で扱われた種々のテーマが…
●『グリンドルの悪夢』 P・クェンティン 原書房 読了。 グリンドルの村で少女が失踪し、その父親は死体で発見された。同時並行して、ペットや家畜が連れ去られて惨殺される事件が頻々として発生する。正体不明の殺人鬼の跳梁で、村は題名の通り悪夢のような…
●東映の「人形佐七捕物帖 恐怖の通り魔」を観た。若山富三郎演じる佐七がなんとも濃い。付き従う辰五郎は、大泉滉が怪演している。原作小説に「通り魔」があるが、内容からして無関係のようだ。 幕府御用商人が通り魔に殺害される事件が立て続けに発生した。…
●『ミステリー・マイル』 M・アリンガム ROM叢書 読了。 巻末のあとがきにある通り、本格風味のサスペンス物、あるいは謎のある冒険小説である。ロジックやトリックへの過度な期待をしない限り十分に楽しめる。そもそもが期待する作品ではないのだ。正体…
●『クイーンの色紙』 鮎川哲也 光文社文庫 読了。 三番館シリーズの五冊目である。「秋色軽井沢」はメインのワンアイデアも悪くはないが、人間の心理を読んだサブのネタが気に入った。以降の作品の読みどころを挙げておくと、「X・X」では、ダイイング・メ…
●『新青年傑作選 第五巻 読物・資料編』 中島河太郎編 立風書房 読了。 実際は三部構成で、第一部読物編、第二部復刻編、第三部資料編となっている。読物編では、獅子文六「西洋色豪伝」が最も気に入った。文章が流れるようで、気持ちよく読める。扱っている…