2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧
●今月の総括。買った本:五冊読んだ本:十冊 横溝読書会で「びっくり箱殺人事件」を読んだので、同時収録の「蜃気楼島の情熱」を再読すれば角川文庫『びっくり箱殺人事件』を読了数に計上できたのだが。「蜃気楼島~」って真相がヘビーなので、読むのにちょ…
●『森下雨村探偵小説選II』 論創社 読了。 メインの長編「三十九号室の女」は、ホテルの一室での殺人事件を巡り、警察と主人公と二方面の探索活動が描かれる。前者の模様は私好みの地道なもので、これは読ませると期待した。ところが後者の主人公とその友…
●『バジル』 W・コリンズ 臨川書店 読了。 「ウィルキー・コリンズ傑作選」の第一巻である。なにしろ十九世紀半ばの作品だから、まどろっこしくて退屈で、時代がかって大仰で、読むのがしんどいだろうと思っていた。だが読み始めるとその予想はいい方向に完…
●第五回オンライン横溝読書会を開催した。課題図書は『びっくり箱殺人事件』。雑誌『月刊読売』に、昭和二十三年に連載された作品である。参加者は私を含めて十名。 ●会ではネタバレ全開だったのだが、このレポートでは当然その辺りは非公開である。なお各項…
●『オリエント急行の殺人』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 記憶が定かでないが、四十年ぶりに近い再読。初読は新潮文庫だったが、その本はいつの間にか染みだの黴だのでボロボロになっていて、やむを得ず処分した。持っておきたい作品なのでクリ…
●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第九回として、第二巻を読み進める。今回読むのは、「シヤアロツク・ホウムズの事件録」の前半六編である。訳者は横溝正史としてある。だが実際のところは名義貸しらしい。 いまさら感想でもないので、コメ…
●『松本泰探偵小説選III』 論創社 読了。 ネガティブな感想を書いた部分はごっそり非公開。そうすると、公開できる部分はわずかしか残らない。この本は私の好みではない。 「濃霧」は主人公が盲目なるが故のサスペンスかと思ったらそうでもない。途中から…
●『シャーロック・ホームズの知恵』 長沼弘毅 朝日新聞社 読了。 そつなく簡潔に書かれた、オーソドックスなシャーロキアン本。という捉え方はもちろん間違いなので。既存の基準に照らしてオーソドックスなのではなく、本書こそがまさしく基準となるべき基本…
●『魔都』 久生十蘭 朝日文芸文庫 読了。 流麗な文章で語られる、複雑怪奇な都市綺譚。新聞記者古市加十の登場で幕を開けた物語は、やがて複数に分岐し、合流し、再び離散し混淆し、変転止まるところを知らず。デマと嘘と勘違いとすれ違いとが交錯し、欲と嫉…
●『証拠は語る』 M・イネス 長崎出版 読了。 教授連の奇矯さと、殺人の真相について彼らが主張する奇説珍説とがひとつの読み所。その辺りの味わいはユーモアミステリというより、真顔で冗談を言うタイプの可笑しさがある。 一番気に入ったのは、アプルビイ…
●『甲賀三郎探偵小説選III』 論創社 読了。 甲賀三郎って、ページ数の割に複雑すぎるネタを盛り込む癖があるのだろうか。最後の二ページくらいで、二重三重に入り組んだ真相がぶちまけるように明かされる作品がちょいちょいある。伏線も推理の過程もなく…
●『保篠龍緒探偵小説選II』 論創社 読了。 第一巻を読んで作風は分かっている。冒頭の長編「白狼無宿」は、伏線やロジックや捻りや意外な真相といった要素を一切期待しなければ、それなりに読める。展開が速くて派手。格闘アクションが割と丁寧に描かれて…
●さて、一夜明ければ新玉の春でございます。本年もよろしくお願い申しあげます。 ●例年ならどこか手頃のビジネスホテルに泊まりに行って年を越すのだが、今はそんな状況ではない。寝ても起きても自宅のままである。こうなると正月なんて有って無いようなもの…