累風庵閑日録

本と日常の徒然

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ささやく真実

●書店に寄って本を買う。『ささやく真実』 H・マクロイ 創元推理文庫マクロイもだいぶ積ん読が溜まってきたな。●今月の総括。買った本:五冊読んだ本:十冊今月はあまり買わずに済んだ。

夜歩き娘

●「横溝正史の『左門捕物帳』をちゃんと読む」プロジェクト。今回は第三話「夜歩き娘」を読む。 オープニングはチェスタトンの趣向を拝借した魅力的な展開だが、そのあと急に失速する。物語のトーンがまるで変わってしまい、どうにもちぐはぐである。左門の…

トムとジェリー

●書店に寄って本を買う。『トムとジェリー シャーロック ホームズ』 伊豆平成 小学館ジュニア文庫トムとジェリーのノベライズってどういうものかちょっとイメージが湧かないのだが、ホームズネタだから試しに買ってみた。この本、帯によると原作となった映像…

『退職刑事4』 都筑道夫 徳間文庫

●『退職刑事4』 都筑道夫 徳間文庫 読了。「落ち葉の墓」は小道具の使い方と、些細な会話から推理を巡らす展開とが面白い。このシリーズの定型から外れた「闇汁会」と「Xの喜劇」は、五郎と父親以外にも人を交えて謎をいじり回す、掛け合いの面白さがある…

人間ドック

●朝から病院。年に一度の人間ドックである。胃カメラは鼻から挿すタイプを選択。去年の記憶に比べたら楽だったが、それでもやはりえげつない。●検診を終えたのは昼頃。今日はこの後フリーなので、電車に乗って街に出る。書店に寄って『幻の屋敷』 M・アリン…

神楽太夫

●宮城県立図書館から、お願いしていたコピー資料が届いた。横溝正史「神楽太夫」の初出テキストである。ところでこの作品の掲載誌だが、念のため国会図書館で検索したらきっちり所蔵されてやんの。今となってはどうでもいいことだが、そっちにコピーを依頼し…

『霧に包まれた骸』 M・ケネディ 論創社

●『霧に包まれた骸』 M・ケネディ 論創社 読了。 捜査が進むにつれて加速度的に謎が深まってゆく展開はお見事。検死の結果で混迷の度合いが一気に増す辺り、これこそミステリならではの面白さである。他にも、いかにもミステリ的なネタが散りばめられている…

ちょい旅行

●土曜日曜で、「18きっぷ」を使ってちょいとでかけてきた。水戸から阿武隈山地へと、久慈川に沿って延々分け入り、夏の濃い緑をひたすら眺める旅である。そして温泉。日帰り温泉二カ所に行けて、満足度は高い。贅沢をしない旅なので、泊まりは温泉宿ではな…

『三人の中の一人』 S・A・ステーマン 番町書房

●『三人の中の一人』 S・A・ステーマン 番町書房 読了。 こいつはケッサク。漢字で書く「傑作」ではなく、片仮名で書くニュアンスである。素っ頓狂な展開の中に、意外なほど濃密なミステリ・スピリットが詰め込まれている。 数々の外連味がなかなか楽しい…

図書館からの回答

●ジムの夏季休業と、こちらの野暮用と、いつもの怠け癖とが重なって、今日の筋トレは十日ぶりである。明日は全身筋肉痛になるであろう。●宮城県立図書館から問い合わせへの回答が来た。ありがたや。内容は満足のいくものだったので、さっそく文献の複写を依…

『傷ついた女神』 G・シェルバネンコ 論創社

●『傷ついた女神』 G・シェルバネンコ 論創社 読了。 イタリアン・ノワール、だそうで。いわゆるノワールという枠でくくられるミステリには、正直言ってあまり興味がない。ノワールをよく分からないままとりあえず読んでみると、これって一昔前ならハードボ…

全生庵で幽霊画

●手頃な時刻に家を出て、電車に乗って東京へ。日暮里駅から徒歩十分、谷中の全生庵で、幽霊画展を観るのである。 現在、所蔵品のうち伊藤晴雨の作品はすべて、江戸東京博物館で展示されているらしい。と思っていたら、「怪談乳房榎図」はこっちで展示されて…

金田一耕助自由研究

●文献のコピーを依頼した国会図書館から問い合わせ。依頼文献は占領期のものなので、検閲関連の文書が付随しているが、それもコピーするか?⇒本文が読めればいいのでその部分は不要と回答した。 もう一点、雑誌「新青年」掲載分の依頼文献はマイクロフィッシ…

『消すな蝋燭』 横溝正史 出版芸術社

●今日はさほど涼しくはないけれども、湿気が少なくてやけに爽やかである。秋の気配……というのはさすがに気が早過ぎるが、そういえば秋の始まりってこんな感じだったよな、と思い出す。●『消すな蝋燭』 横溝正史 出版芸術社 読了。 昭和二十年代に発表された…

勢いに任せて

●昨日の飲み会で話題に出た、とある短編探偵小説が何なのかを調べる。探しているお方のおぼろげな記憶では、乳母車が題材の数ページの作品、二十年ほど前の文庫に収録されていた、たぶん角川文庫かハルキ文庫、新青年とかその辺りの古い作品、とのこと。 考…

図書館への問い合わせ

●積ん読になっていた、出版芸術社の横溝正史『消すな蝋燭』を読み始めた。巻末解説を拾い読みすると改稿情報が目に入ってきて、探求欲がむらむらと湧いてくる。某雑誌が宮城県立図書館に所蔵されていることが分かったので、さっそくリファレンスに問い合わせ…

『絹靴下殺人事件』 A・バークリー 晶文社

●『絹靴下殺人事件』 A・バークリー 晶文社 読了。 後半になって、犯人の見当が付いた。手掛かりに基づいて推理したわけではさらさらなくて、(伏字)のはずだという、ちょっとずるいアプローチによるものである。また本書では、犯人を隠すために複数のネタ…

狐武者

●コンビニで、某氏にお送りする横溝文献をコピー●書店に寄って本を買う。『狐武者』 岡本綺堂 光文社文庫●今晩はこの日記をアップしてから、在宅のまま、ある特殊な横溝系イベントに参加する。映画『悪霊島』のソフトを銘々が自分で確保して、タイミングを合…

『XYZ 他十七編』 グリーン 春陽堂

●『XYZ 他十七編』 グリーン 春陽堂 読了。 昭和五年刊行の、探偵小説全集第二十一巻である。個人的には、訳者が横溝正史だというのが大きなポイント。「横溝本」の一冊という位置付けである。内容は、A・K・グリーン他四名のアンソロジー。◆W・L・ア…

楽しくて寝坊

●昨日の飲み会が楽しくて、酒が進んで今朝は二日酔い気味。定刻に鳴りだした目覚ましを止めて、あえて寝坊する。本はちょいと古い短編集を少しだけ。火曜までに読了できるかどうか、微妙なところ。●今度の横溝系企画に参加すべく、TSUTAYAにDVDを…

『日影丈吉集 かむなぎうた』 ちくま文庫

●『日影丈吉集 かむなぎうた』 ちくま文庫 読了。 日下三蔵編の、怪奇探偵小説名作選第八巻である。「狐の鶏」の、閉鎖的でじっとり湿ったような田舎空間の息苦しさは、横溝正史の書く「閉鎖的な田舎」が牧歌的に見えてくるほどである。「饅頭軍談」は、他の…

挿絵叢書

●書店に寄って本を買う。『挿絵叢書 竹中英太郎(二) 推理』 末永昭二編 皓星社本書の個人的な目玉は、横溝正史が川崎七郎名義で書いた中絶作「桐屋敷の殺人事件」が収録されている点にある。さらに、巻末解説の記述も見逃せない。正史の戦前作には珍しい犯…

『黒い蘭』 R・スタウト 論創社

●『黒い蘭』 R・スタウト 論創社 読了。 『怪奇な屋敷』の後だと特に、本書のように首尾一貫して、キャラクターが定まった小説を読むのは楽しい。それにもちろん、ミステリならではのロジックの面白さもきっちり味わえる。表題作が、収録の三編中のベスト。…

『怪奇な屋敷』 H・ランドン 論創社

●『怪奇な屋敷』 H・ランドン 論創社 読了。 怪奇趣味の濃い密室殺人という題材は魅力的だし、馬鹿馬鹿しさと紙一重の、力技の真相も大いに買う。解決場面での探偵役の仕掛けも面白い。だが、手放しで褒めることはできない。(伏字)などといった説明不足の…