累風庵閑日録

本と日常の徒然

『地下鉄サム』 マツカーレイ 平凡社

●『地下鉄サム』 マツカーレイ(表記ママ) 平凡社 読了。 世界探偵小説全集の第七巻である。横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第十一回として、今日は残っていた同時収録のビーストン三編を読む。一月から細切れに取り組んでいたのを、よ…

チベット怪盗伝

●お願いしていた本が届いた。 『チベット怪盗伝』 E・マーシャル 湘南探偵倶楽部

『押川春浪集』 伊藤秀雄編 ちくま文庫

●『押川春浪集』 伊藤秀雄編 ちくま文庫 読了。 明治探偵冒険小説集の第三巻である。なにしろ明治時代の文章なので、改行がほとんどなくページにみっしりと文字が詰まっている。だがその読み味は意外なほど軽快であった。往時の武侠冒険小説の味わいがどんな…

『大阪圭吉探偵小説選』 論創社

●『大阪圭吉探偵小説選』 論創社 読了。 収録作はどれもこれも、主人公の探偵が外国のスパイ組織を摘発する話である。犯罪も犯人設定も同工異曲なので、そういう点では面白味に乏しい。読み所は、敵組織がどうやってスパイ活動を行うかのアイデアにある。 秀…

『夜の皇帝/深夜の魔王』 高木彬光 神月堂

●『夜の皇帝/深夜の魔王』 高木彬光 神月堂 読了。 ともかくも本の形で読めるということが素晴らしい。重要なポイントである。「はじめに」にある、読みたい読みたいと求めるだけではなくて自ら行動を起こすファンの姿は、胸を熱くさせるものがある。 「夜…

井上靖 未発表初期短編集

●取り寄せをお願いしていた本を受け取ってきた。 『井上靖 未発表初期短編集』 七月社 探偵小説が含まれているというので、手を出してみた。

『「宝石」一九五〇 牟家殺人事件』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『「宝石」一九五〇 牟家殺人事件』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 メインの長編、「牟家殺人事件」が面白い。二百ページ少々の決して長くない分量のなかで、牟家の人々がころころと殺されてゆく派手な作品である。個々の殺人についてじっくり…

ミス・シートンは事件を描く

●書店に寄って本を買う。 『ミス・シートンは事件を描く』 H・カーヴィック コージーブックス シリーズ第一巻『村で噂のミス・シートン』は、バークリー御推薦ということで買ってみた。で、シリーズものだからとりあえず続刊の本書も買ったのだが、正直なと…

『楽園事件』 J・S・フレッチャー 論創社

●『楽園事件』 J・S・フレッチャー 論創社 読了。 「ダイヤモンド」 ミステリを読んでいて、探偵が偶然重要な手掛かりや証人に出くわす展開が何度も繰り返されると、気持ちが醒めてくる。フレッチャーの作風は多分にその傾向があって、今まで読んだ数冊は…

『木々高太郎探偵小説選』 論創社

●『木々高太郎探偵小説選』 論創社 読了。 作者のブンガク志向の故か、登場人物の心理的側面に主眼を置いた作品がちょいちょい見受けられる。その書き方にもよるのだろうが、どうも私の好みではなかった。探偵の推理ではなく作者の説明で真相が語られると、…

有栖川有栖の密室大図鑑

●書店に出かけて本を買う。 『有栖川有栖の密室大図鑑』 有栖川有栖 創元推理文庫 元本を持っているから買わないつもりだったが、それは私の勘違いであった。念頭にあったのは『密室入門』で、これとは違う本なのである。

『ウースター家の掟』 P・G・ウッドハウス 国書刊行会

●『ウースター家の掟』 P・G・ウッドハウス 国書刊行会 読了。 こいつは傑作。様々な登場人物達の、夢と希望と愛と欲とその他諸々とが複雑に絡まり合った混沌の渦の中に、首までどっぷり浸かってしまった主人公バーティ―。そんな彼があたふたおろおろしつ…

『謎のギャラリー -愛の部屋-』 北村薫編 新潮文庫

●『謎のギャラリー -愛の部屋-』 北村薫編 新潮文庫 読了。 収録作はよほどの精選なのであろう。全体を通して面白く読んだ。それはいいのだが、ふだん読むのはいつもミステリばかりなので、こういうタイプの小説には馴染みがない。作品を語るための言葉を…

今月の総括

●今月の総括。 買った本:九冊 読んだ本:十冊 買った九冊のうち、四冊が私家版である。これはこれで凄いことだ。

寝ぼけ署長

●かつての飲み仲間が上京するというので、再会して昼酒をかます。繁華街を歩いて、あまりの混雑に人当たりして疲れてしまった。 ●いい感じに酔って件のおっさんと別れ、帰宅途中に書店に寄って本を買う。 『寝ぼけ署長』 山本周五郎 新潮文庫 以前から気にな…

『クラヴァートンの謎』 J・ロード 論創社

●『クラヴァートンの謎』 J・ロード 論創社 読了。 おっそろしく地味な作品である。前後の状況に不審な点はあるものの、厳密な検査をしても毒物が検出されない死体。つまり表面的には、この事例は自然な病死である。探偵が取り組むべき事件が、そもそも存在…

「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」第十回

●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第十回として、マッカレー『地下鉄サム』の続き。今日は六編読んだ。 「サムと悪童」 弟子入り志願の子供が付きまとって離れない。サムはすっかり調子を狂わせてしまった。 「サムとペテン師」 サムは掏…

『悪魔黙示録 「新青年」一九三八』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『悪魔黙示録 「新青年」一九三八』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 百五十ページあって本書のほぼ半分を占める、赤沼三郎「悪魔黙示録」がメインの作品である。立花家皆殺しを狙う謎の殺人鬼、ってな派手な展開は読み応えがある。長崎県雲仙地…

マレーの虎

●午前中は野暮用。昼からジム……に行く予定だったが、サボってしまう。行く時間はあったけれど、行く気力が湧いてこなかった。 ●いったん帰宅して昼寝してから、光文社文庫のミステリアンソロジーを読む。区切りのいいところで本を置き、また出かける。今晩は…

『新 顎十郎捕物帳2』 都筑道夫 講談社文庫

●『新 顎十郎捕物帳2』 都筑道夫 講談社文庫 読了。 ちと癖のある文章が、なぜかこちとら性に合い、季節感あふれる情景の、描写がいちいち面白く、言ってはならぬ顎十郎、言ってしまえば際立つ剣技、出くわす事件のその肝は、奇怪不可解不可能興味、解決部…

『狩久探偵小説選』 論創社

●『狩久探偵小説選』 論創社 読了。 本書は、作者の作風のふたつの側面のうち、ロジック志向に焦点を当てて編まれたそうな。それは私の好みとも合って望ましいのだが、前半はどうも低調であった。あまりにもいろんなものをかっ飛ばしており、満足度が低い。…

人買船

●お願いしていた本が届いた。 『人買船』 泉斜汀 東都我刊我書房 泉鏡花の弟の、探偵小説選だそうで。まったく、大変なものを出してくれる。価格も大変だけれども。 ●税務署から、所得税の還付金が振り込まれた。六桁に達する結構な額だが、決して裕福になっ…

「廃園の鬼」朗読会

●朗読会に行ってきた。「ミステリー専門劇団回路R」さんによる、横溝正史「廃園の鬼」の朗読である。当然のことだが、読むのと聴くのとでは全然違う。修練を積んだ者が出す声の、迫力がさすがである。 ●帰宅途中に、書店に寄って本を買う。 『髑髏城』 J・…

『サウサンプトンの殺人』 F・W・クロフツ 創元推理文庫

●『サウサンプトンの殺人』 F・W・クロフツ 創元推理文庫 読了。 味わいはいつものクロフツだが、今回は割と工学趣味、技術趣味が濃厚であった。簡単なものではあるが、数学の計算まで出てくる。そして内容はかなり上出来。正直なところ、発端の事件はちと…

スペクトルD線

●お願いしていた本が届いた。 『海魔団』 D・ハメット 湘南探偵倶楽部 『スペクトルD線』 木々高太郎 湘南探偵倶楽部 今回はコミックとジュブナイルという、ちょっとばかり変則的なラインナップである。

『謎のギャラリー -こわい部屋-』 北村薫編 新潮文庫

●『謎のギャラリー -こわい部屋-』 北村薫編 新潮文庫 読了。 粒揃いの傑作アンソロジーであった。素晴らしい。気に入った作品を挙げようとすると、収録作をほとんどすべて並べることになってしまう。それでは長くなるので、あえて一作だけ、クレイグ・ラ…

『絶版殺人事件』 P・ヴェリー 論創社

●『絶版殺人事件』 P・ヴェリー 論創社 読了。 伏線となるべき描写にも、読者に対する情報提示の手法にも、ちょいちょい心細い部分がある。だが、それらをもって欠点とするのは、評価軸が違ってそう。どうもこの作家殿、細かいことを気にしないらしい。それ…

『呼びとめる女』 鮎川哲也 角川文庫

●『呼びとめる女』 鮎川哲也 角川文庫 読了。 「鮎川哲也名作選」の第十巻である。安心安定の鮎川印。シンプルな手がかりでズバリと決まる結末は、読んでいて気持ちがいい。 収録作中のベストは表題作「呼びとめる女」で、切れ味とオチの付け方とがお見事だ…

『呪のデュマ倶楽部』 A・P・レベルテ 集英社

●『呪のデュマ倶楽部』 A・P・レベルテ 集英社 読了。 稀覯本テーマのミステリである。題材となっている本が凄い。そもそもの原本は、人類が文字を使い始めるはるか以前に悪魔によって書かれた魔書で、それを基に十七世紀に作られたのが、作中で扱われてい…

『高木彬光探偵小説選』 論創社

●パソコンを買ってきた。セットアップはあとで。 ●『高木彬光探偵小説選』 論創社 読了。 戦後活動を開始した作家が論創ミステリ叢書に収録されるのは、これが初めてだろうか。本格ミステリ勃興後の作家だから、好みに合った作品が多くて面白く読めた。 ベス…