累風庵閑日録

本と日常の徒然

『わが職業は死』 P・D・ジェイムズ ハヤカワ文庫

●『わが職業は死』 P・D・ジェイムズ ハヤカワ文庫 読了。 登場人物に対しても周囲の情景に対しても、執拗な描写が積み重ねられる。根気も集中力も長続きしなくなっている今、みっしりと書き込まれた五百ページは、しんどい。読了するのに四日もかかってし…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第二回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第二回をやる。今回は第一巻の収録作から「四人の署名」を読む。訳者は延原謙である。前回読んだのは十二年前。この作品は読む度にだんだん好きになってくる。 コンパクトな中に怪奇冒険スリラーの要素が詰…

ひとまず中断

●別冊幻影城の日影丈吉の巻から、「真赤な子犬」を読んだ。徳間文庫で復刊された時に、いいタイミングだから読もうと思ったのだが、実行しないままあっという間に二年が経ってしまった。ここでひとまず中断し、他の収録作は来月に回す。感想を書くのは通読し…

『死への旅』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『死への旅』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 巻末解説には、おだやかなスパイ冒険小説とある。全くその通りで、ずいぶんと平板なスパイスリラー。と言いたいところだが、スリラーと名乗れるようなスリルの要素はほとんどない。あまりネガティブ…

『少年ミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『少年ミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 個人的な事情もあって、森村誠一「魔少年」が収録作中のベスト。何年も昔、テレビドラマになったやつを観た。その時のぼんやりと曖昧な記憶を前提に読み進めていったら、真相は思ってい…

『北町一郎探偵小説選II』 論創社

●『北町一郎探偵小説選II』 論創社 読了。 冒頭四編の防諜小説は、私の好みから遠く遠く隔たっている。ただ読んだだけ、というより、目が活字の上を滑っていっただけである。作品から何か読み取るべき要素もあるかと思うが、そういうのは研究家や評論家に…

知りすぎた男

●久しぶりに、少々大きめの書店を覗いた。周囲に膨大な本がある空間は、やはり沁みる。そこで買った本。 『知りすぎた男』 G・K・チェスタトン 創元推理文庫 すでに論創海外で読んでいる作品だが、別の訳でも読んでみたくなった。それはそうと、個人的に最…

『シャーロック伯父さん』 H・ペンティコースト 論創社

●『シャーロック伯父さん』 H・ペンティコースト 論創社 読了。 主人公の少年ジョーイ・トリンブルと探偵役のジョージ・クラウダ―伯父さんとが、数々の事件に遭遇する。こういう人物配置とジョージ伯父さんの造形とが、ポーストのアブナー伯父を連想させる…

『千葉淳平探偵小説選』 論創社

●『千葉淳平探偵小説選』 論創社 読了。 面白い。収録作の味わいの、バラエティに富んでいること驚くばかりである。オーソドックスな本格ミステリ、艶笑譚風ミステリ、通俗ハードボイルド風、いわゆる「足の探偵」の堅実な作風、犯罪サスペンス、素朴ではあ…

殺人者は一族の中に

●注文していた本が届いた。 『殺人者は一族の中に』 D・エームズ 風詠社 実は、ふたつのネットショップに一冊ずつ注文していた。どちらの店も、在庫がなくて出版社からの取り寄せ扱いである。最初の店は、一定期間のうちに入荷されない場合は注文がキャンセ…

第三回オンライン飲み会

●第三回オンライン飲み会を開催した。参加者は瞬間最大で十名。ご新規さんが三名様いらっしゃって、ありがたいことである。今回のテーマは、データ共有である。各自の手元にある画像データ、動画データを、「たくのむ」で問題なく共有できることを確認した。…

『ヒルダ・アダムスの事件簿』 M・R・ラインハート 論創社

●『ヒルダ・アダムスの事件簿』 M・R・ラインハート 論創社 読了。 中編が二編収録されている。「バックルの付いたバッグ」は、失踪事件にまつわる奇妙なサスペンス。ロジックの興味には乏しく、状況の異様さと先の展開への興味とで読ませる。 作者が仕掛…

『死が二人を別つまで』 鮎川哲也 角川文庫

●『死が二人を別つまで』 鮎川哲也 角川文庫 読了。 鮎川哲也名作選の第八巻である。伏線とロジックの面白さを主眼とする作品は、あまり短いとどうもあっけなさすぎるようだ。 「汚点」 過去に仙台で五年暮らしたので、メインのネタには早い段階で気付いた。…

『サイモン・アークの事件簿IV』 E・D・ホック 創元推理文庫

●『サイモン・アークの事件簿IV』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。 一冊の本の感想は、ただその一冊の内容だけで定まるものではない。現在その時の気分や体調にも左右されるし、直前にどういう本を読んだかにも大きく影響を受ける。どうにも薄味だった…

『千代有三探偵小説選I』 論創社

●『千代有三探偵小説選I』 論創社 読了。 全体的に、どうも薄味。ロジックの興味も外連味もサスペンスも、豊富とは言い難い。辛気臭いブンガク趣味もまた少ないのはありがたいけれども。 読んでいると期待値がどんどん下がってくる。そのおかげで、わずかで…

真紅の鱗形

●お願いしてた本が届いた。 『真紅の鱗形』 甲賀三郎 湘南探偵倶楽部 『人肉の腸詰』 妹尾アキ夫 湘南探偵倶楽部 『アメリヤ・ジョーンズを憎んだ男』 E・ウォーレス 湘南探偵倶楽部 ●今月の総括。 買った本:十三冊 読んだ本:十冊 買ったのは私家版と同人…

シャーロック伯父さん

●お願いしていた本が届いた。 『ヒルダ・アダムスの事件簿』 M・R・ラインハート 論創社 『シャーロック伯父さん』 H・ペンティコースト 論創社

『本田緒生探偵小説選II』 論創社

●『本田緒生探偵小説選II』 論創社 読了。 全体的に低調。「名刺」の軽快な味わいと「或る男の話」の不気味さとがちょっと面白かったが、それ以外にコメントを付けたいと思える作品には出会えなかった。

Re-ClaM

●お願いしていた本が届いた。 『Re-ClaM Vol.4』 特集はクロフツで、これはちょと読むのが楽しみ。

第二回オンライン飲み会

●第二回オンライン飲み会を開催した。今回のチェックポイントは回線の重さである。最近オンライン飲み会流行りで、専用ツール「たくのむ」の利用者がやけに増え、そのせいで金曜の夜などは動作が異様に重くなったと聞く。システム上の最大参加者十二名のとこ…

『殺人計画』 J・シモンズ 新潮文庫

●『殺人計画』 J・シモンズ 新潮文庫 読了。 ふたりの人物に対するそれぞれの陰謀の交錯。そつなく書かれてはいるが突出したものが無く、まったく普通のサスペンス。終盤まではありきたりと言っていい。 だが、読了後の結論としては満足。真相の意外性は十…

『泡坂妻夫引退公演』 新保博久編 東京創元社

●『泡坂妻夫引退公演』 新保博久編 東京創元社 読了。 読めることに意義がある作品もちょいちょいある。亜智一郎のシリーズ七編は、毎回恒例の冒頭の言葉遊びと、ダイナミックな歴史の動きが垣間見えるところは面白い。だが、その辺りは装飾の要素である。作…

「改造社の『ドイル全集』を読む」第一回

●今月から、新規プロジェクト「改造社の『ドイル全集』を読む」を始める。昭和六年から八年にかけて刊行された改造社の「世界文学大全集」のうち、全八巻を占める「ドイル全集」を、月に二日くらいずつの時間配分で読んでゆくことにする。一冊を数か月かけて…

『甲賀三郎 大阪圭吉 ミステリー・レガシー』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『甲賀三郎 大阪圭吉 ミステリー・レガシー』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 甲賀三郎「歪んだ顔」は、巻末解説にある甲賀の本格ミステリ観がよくうかがえる作品。「あまり論理性は重視していなかった」らしい。悪く言えばいい加減、良く言えば…

横溝正史追憶集

●お願いしていた本が届いた。 『戯曲 アルセーヌ・ルパン対ハーロック・ショームズ』 トサカ文庫 ●注文していた本が届いた。 『横溝正史追憶集』 このところ旅行にも行ってないし外に飲みにも行ってない。おかげで財布にほんのちょっとだけ余裕がある。そん…

『ブラック・マネー』 R・マクドナルド ハヤカワ文庫

●『ブラック・マネー』 R・マクドナルド ハヤカワ文庫 読了。 リュウ・アーチャーは銀行家の青年から、フィアンセを奪った謎の人物の身元調査を依頼される。アーチャーが動き回るにつれて、多くの人々の過去から現在に渡る複雑な関係がじわじわと見えてくる…

『藤村正太探偵小説選I』 論創社

●『藤村正太探偵小説選I』 論創社 読了。 楽しめた作品とそうでないのと、わりとはっきり二分できる作品集であった。駄目な方は、ページ数と内容とのバランスが取れていないようだ。材料を盛り込み過ぎて処理しきれていないのである。まるでマニアさんが熱…

オンライン飲み会

●今はいろいろ閉塞的でしんどくて、うっかりすると不安や怒りやその他諸々ネガティブな感情にとらわれがちである。だが、負の感情に飲み込まれ支配されてしまっては、メンタルがやられる。そんなとき、友人知人と楽しく飲みかつ語ると、メンタルを健康に保つ…

『死の濃霧』 論創社

●『死の濃霧』 論創社 読了。 「延原謙翻訳セレクション」の副題が付いている。編集の趣旨からすれば、訳文を吟味したり他の訳との比較を行ったりするのが望ましいアプローチなのだろうが、そういうのはマニアさんにお任せする。私は収録作をただ作品として…

乗合馬車の犯罪

●お願いしていた本が、二方面から届いた。 『乗合馬車の犯罪』 F・D・ボアゴベ 別冊Re-ClaM 『甲賀三郎探偵小説選IV』 論創社 『死の濃霧 延原謙翻訳セレクション』 論創社 こんな時でも本が届くのだ。こんな時でも本を読むのだ。