累風庵閑日録

本と日常の徒然

『不思議なミッキー・フィン』 E・ポール 河出書房新社

●『不思議なミッキー・フィン』 E・ポール 河出書房新社 読了。 小説を書いていると登場人物が勝手に動き出す、なんてなことを作家が語っているのを目にすることがことがある。ところがどうやらこの作品では、登場人物も周囲の状況も物事のタイミングも、完…

『江戸川乱歩に愛をこめて』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『江戸川乱歩に愛をこめて』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 「無闇坂」森真沙子こういうタイプの作品は、久しぶりに読むというそれだけで新鮮。 「悪魔のトリル」高橋克彦落ち着いた語り口でつづられる恐怖の回想譚。ひねりもオチも上手く効い…

「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」第九回

●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第九回として、先月から取り掛かったマッカレー『地下鉄サム』の続き。今日は六編読んだ。 「サムの恐怖」 財布と思ってサムが掏ったのは、恐ろしい病原菌の培養器だった。 「サムの愛国者」 博識で嫌味…

『ニュー・イン三十一番の謎』 A・フリーマン 論創社

●『ニュー・イン三十一番の謎』 A・フリーマン 論創社 読了。 どうやらフリーマン、作品をきっちり構築することには熱心だが、物語を盛り上げようという気はあまりないようだ。かなり早い段階で、おおまかな真相には見当が付いた。ところが語り手のジャーヴ…

深夜の鐘

●お願いしていた本が届いた。 『深夜の鐘』 楠田匡介 湘南探偵倶楽部 素晴らしい。併せて、某出版社に関する興味深い情報をいただいた。こちらも素晴らしい。タイミングを見て問い合わせてみることにする。

『ホームズは女だった』 中川裕朗 早川書房

●『ホームズは女だった』 中川裕朗 早川書房 読了。 第一部「わがシャーロッキアーナ」は、原典の記述に基づいて原典とは異なる真相を導くというパターンの短編集。あとがきによれば、「論理の遊びによる再創作」だそうで。 第一話「ホームズは女であったか…

『ABC殺人事件』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『ABC殺人事件』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 今は昔、中学生の頃、あかね書房版の塩谷太郎訳「ABC怪事件」を読んだ。以来幾星霜、大人向けの訳で読むのは初めてである。ミステリなんて読んだそばから内容を忘れてしまうのが普通なのだ…

村で噂のミス・シートン

●書店にでかけて本を買う。 『村で噂のミス・シートン』 H・カーヴィック コージーブックス かのバークリーが推薦したというので買ってみた。その情報はツイッターで知ったものである。それまでは、申し訳ないがコージーブックスはまるで眼中になかった。こ…

『謎のギャラリー -謎の部屋-』 北村薫編 新潮文庫

●『謎のギャラリー -謎の部屋-』 北村薫編 新潮文庫 読了。 昨日から体調を崩して、文章を書く気力がない。気に入った作品の題名を挙げるだけにしておく。「遊びの時間は終わらない」都井邦彦、「定期巡視」ジェイムズ・B・ヘンドリクス、「エリナーの肖…

ニュー・イン三十一番の謎

●書店に寄って本を買う。 『ニュー・イン三十一番の謎』 A・フリーマン 論創社 『ネロ・ウルフの災難 女難編』 R・スタウト 論創社

『角田喜久雄探偵小説選』 論創社

●『角田喜久雄探偵小説選』 論創社 読了。 前半、明石良輔の事件簿では、やはり「笛吹けば人が死ぬ」がずば抜けている。アンソロジーやなんかで何度か読んだ作品だが、再読しても面白い。「青い雌蕊」は、結果はどうあれ主人公の地道な捜査を面白く読んだ。 …

『宮野村子探偵小説選II』 論創社

●『宮野村子探偵小説選II』 論創社 読了。 好みというのはどうしようもないもので、私が望んでいるのはやはり、ブンガク趣味よりも探偵趣味、あるいは怪奇趣味なのである。宮野村子を読むのは二冊目なので、その作風が暗い情念を息の長い文章でねっとりと…

文字起こし

●昨日の読書会の録音を文字起こし。内容を整理して、昨日の日付でアップ。この作業で一日かかった。

第七回横溝正史読書会

●第七回横溝正史読書会が開催された。課題図書は『獄門島』である。参加者は幹事さん司会者さん含め十一名。会場は、もはやすっかりお馴染みとなった浅草の昭和モダンカフヱ&バー「西浅草黒猫亭」さんである。 ●会ではネタバレ全開で会話が交わされたのだが…

今月の総括

●今月の総括。買った本:八冊読んだ本:十冊今月は怪盗ニック全六巻完結、そして横溝本の順調な刊行と、いい感じである。

課題図書「獄門島」

●今度の第七回横溝読書会に向けて、課題図書である「獄門島」を読んだ。気付いた個所をメモに取るための読み方をしたので、情景描写やなんかはさらりと流している。作品を楽しむためではないそのようなアプローチは、ちゃんと読んだとは言えない。したがって…

仮面劇場

●書店に寄って本を買う。 『仮面劇場』 横溝正史 柏書房 『南方十字星』 山本周五郎 新潮文庫 由利先生のシリーズは順調に刊行されていて、いよいよ来月が最終巻である。素晴らしい。山本周五郎は、四編が初収録だそうで。こういうのは買わないといけない。

『大いなる過失』 M・R・ラインハート 論創社

●『大いなる過失』 M・R・ラインハート 論創社 読了。 これは面白い。ラインハートをすっかり見直してしまった。殺人事件や不穏な出来事が次々と持ち上がり、状況が二転三転する。容疑者とその想定される動機とがぐるぐると入れ替わって、警察は何度もやり…

「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」第八回

●午前中は野暮用。 ●午後からは映画「サスペリア」を観てきた。 そうきたか。予備知識一切なしで観た方がいいと思うので、これ以上何も書かない。自分への心覚えとして、感想を非公開で書いておくけれども。 ●夕方から、横溝プロジェクト「横溝正史が手掛け…

「まぼろし小町」と「蝶合戦」

●昨日読んだ『横溝正史探偵小説選III』に収録されている二編、「まぼろし小町」と「蝶合戦」とは、どちらも人形佐七ものに改稿されている。その佐七バージョンを原型版と読み比べた。なお、佐七版はどちらも春陽文庫『春宵とんとんとん』に収録されている…

『横溝正史探偵小説選III』 論創社

●『横溝正史探偵小説選III』 論創社 読了。 感想を書き始めたら、書いても書いても終わらない。無闇に長いのを公開してもしょうがないので、以下、抜粋版を公開する。 「鋼鉄魔人」 繰り返される怪人消失の不可能興味と怪奇ムードとで、場面毎にそれなり…

怪盗ニック全仕事

●書店に寄って本を買う。 『怪盗ニック全仕事6』 E・D・ホック 創元推理文庫 これで目出度くニックシリーズが完結した。素晴らしい。ところでこれに続くホック短編集の企画を、何かしらやってくれないものだろうか。

『シャーロック・ホームズに再び愛をこめて』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『シャーロック・ホームズに再び愛をこめて』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 一番気に入ったのは鮎川哲也「蹉跌」である。基本的にはパロディやパスティシュばかりが収録されている本書で、そのどちらでもないのが口が変わって新鮮である。ホー…

『白仮面』 金来成 論創社

●『白仮面』 金来成 論創社 読了。 表題作「白仮面」は、型通りの怪盗ものジュブナイル……と思っていたら全然違った。展開はアクションシーンが多めで、自動車による追跡や楼上での格闘など、見せ場が連続する。そんなスピーディーな物語は、速度を維持したま…

探偵アローウッド

●書店に寄って本を買う。 『探偵アローウッド』 M・フィンレー ハーパーBOOKS 『サスペリアMAGAZINE』 洋泉社 普段買わないハーパーBOOKSの棚を眺めていると、知らないホームズパスティシュが目に留まる。三年前刊行されていたのを、うっ…

『三遊亭円朝探偵小説選』 論創社

●『三遊亭円朝探偵小説選』 論創社 読了。 語りの名人円朝の言葉をそのまま速記で写したというだけあって、明治時代の文章にもかかわらず実に読みやすい。しかも内容は落語である。とにかくもう、ひたすらに分かりやすい。徹底して庶民に寄り添う芸能なので…

『夜はわが友』 E・D・ホック 創元推理文庫

●『夜はわが友』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。 上出来の短編集。さすが、約二百編の初期作品から精選したというだけのことはある。収録作はバラエティに富み、犯罪小説、サスペンス、謎解きと各種取り揃えられている。読者が目にするのは、驚きの結末…

白仮面

●電車に乗って街に出て、書店に行って本を買う。 『キャッツ・アイ』 R・A・フリーマン ちくま文庫 『大いなる過失』 M・R・ラインハート 論創社 『白仮面』 金来成 論創社 今年の初買い。

『エーミールと三人のふたご』 E・ケストナー 岩波少年文庫

●『エーミールと三人のふたご』 E・ケストナー 岩波少年文庫 読了。 久しぶりに再会して、海辺の街で夏のバカンスを楽しむ、エーミールと「探偵」達。彼らがそこで経験するのは、輝かしい夏の喜びばかりではない。少年から大人になるにしたがって、誰もが直…

『虎の牙』 M・ルブラン 創元推理文庫

●『虎の牙』 M・ルブラン 創元推理文庫 読了。 根幹となる犯罪のアイデアは(伏字)ネタで、ちょっと面白いと思う。だが、全体としてどうにも惜しい。なにしろ、長い!!! もうちょっと、会話と描写とがきびきび簡潔に書いてあれば。解決しそうに見えたと…