累風庵閑日録

本と日常の徒然

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

名探偵ホームズとワトソン少年

●定期でお願いしている本が届いた。『名探偵ホームズとワトソン少年』 A・C・ドイル 論創社 論創海外ミステリが、これでついに三百巻に達した。素晴らしいことである。 ●今月の総括。買った本:六冊読んだ本:十冊

『大迷宮』 横溝正史 ポプラポケット文庫

●『大迷宮』 横溝正史 ポプラポケット文庫 読了。 九月の横溝イベントに向けて、副読本として読んだ。目的は、「夜光虫」との関連を確認することにある。柏書房版で読んでも角川文庫で読んでも構わなかったのだが、せっかく買って積ん読になっていたのでポプ…

『証拠は眠る』 A・フリーマン 原書房

●『証拠は眠る』 A・フリーマン 原書房 読了。 今回二番目に感心したのが、殺人の手段である。なるほど、その手があったか、と思う。しかもその手段を採用したが故に必然的に証拠を残してしまう展開はお見事。今回最も感心したのが、犯行と犯人とを結びつけ…

『ゴルファー シャーロック・ホームズの新冒険』 B・ジョーンズ ベースボール・マガジン社

●『ゴルファー シャーロック・ホームズの新冒険』 B・ジョーンズ ベースボール・マガジン社 読了。 シリーズ前作『~冒険』は短編集だったが、今回は長編である。組織的なインチキ賭けゴルフが横行し、多くのゴルファー達が大金や土地、屋敷を失っていた。…

「金座太平記」その他

●九月の横溝イベントに向けて、隙間時間に関連作品をちょいちょい読んでいる。これまでに「金座太平記」、「妖説孔雀の樹」、「三本の矢」、と読んでいった。「金座太平記」は緋牡丹銀次捕物帳の一編で、「夜光虫」の基本骨格を保ったまま時代小説に仕立て直したもの。…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第三十八回 「愛の二重奏」

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第三十八回として、第八巻から若い男女の新婚生活を描く「愛の二重奏」を読んだ。何も起きなければさすがに小説にならないが、若夫婦が遭遇する出来事は波乱万丈とは程遠く、ちょっとした起伏程度である。金…

『世界の名探偵コレクション10 エラリー・クイーン』 集英社文庫

●『世界の名探偵コレクション10 エラリー・クイーン』 集英社文庫 読了。 シリーズの第七巻である。四編収録されている小説は、『エラリー・クイーンの冒険』と『エラリー・クイーンの新冒険』とにも収録されている。再読なので感想は省略。新訳版を買って…

『小さな壁』 W・グレアム 論創社

●『小さな壁』 W・グレアム 論創社 読了。 この作品に対するアプローチは、登場人物の感情や価値観や様々な想いに寄り添うようにゆっくり読み進めるのがまっとうな態度なのかもしれない。生来せっかちなので、どうしてもストーリーを追う読み方をしてしまう…

『五つの箱の死』 C・ディクスン 国書刊行会

●『五つの箱の死』 C・ディクスン 国書刊行会 読了。 メインの謎は至ってシンプル。誰にも投入できたはずのない毒がどうやって飲み物に混入されたか。真相もまた単純明快で、私は思い浮かばなくてなるほどと感心したけれども、何かのはずみにぱっとひらめい…

『神変不知火城』 山田風太郎 論創社

●『神変不知火城』 山田風太郎 論創社 読了。 「少年小説コレクション」の第二巻である。後半の時代小説二編が、とにかくもうノリノリでスピーディーで御機嫌であった。どちらかといえば「地雷火童子」の方が好み。地雷火はどこにあるのか、という謎が全体を…

『製材所の秘密』 F・W・クロフツ 創元推理文庫

●『製材所の秘密』 F・W・クロフツ 創元推理文庫 読了。 組織犯罪の全容解明がメインのテーマである。殺人は起きるが、扱いは割と小さい。全体は第一部アマチュア、第二部プロフェッショナルに分かれている。それぞれの主人公は、製材業者の裏の姿に偶然不…

『動く指』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『動く指』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 一見平穏な田舎の村に、じわじわとはびこる中傷の手紙。事態がだんだんエスカレートし、やがてついに悲劇が起きる。というのがメインだが、それに並行してほぼ同等の重みでメロドラマが語られる。終盤…

『犬のミステリー』 鮎川哲也編 河出文庫

●『犬のミステリー』 鮎川哲也編 河出文庫 読了。 題名の通り、犬テーマのミステリアンソロジーである。気に入った作品は以下のようなところ。佐野洋「放火した犬」は、サスペンスも展開の起伏も程よく適量で、二時間ドラマの原作になりそう。多岐川恭「蝋燭…