累風庵閑日録

本と日常の徒然

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

今月の総括

●今月の総括。買った本:五冊読んだ本:十一冊 今月はあまり買わなかった。

『菊池幽芳探偵小説選』 論創社

●『菊池幽芳探偵小説選』 論創社 読了。 メインの長編「宝庫探検 秘中の秘」が面白い。宝探しと、宝を横取りしようとする敵を相手にした闘争の物語である。中盤までは、今読むとありきたりの展開と言っていい。そして、ありきたりだからこそ実に分かりやすく…

左門捕物帳 鷺十郎捕物帳

●午前中は野暮用。 ●用事を終えて帰宅途中、書店に寄って本を買う。 『短編ミステリの二百年1』 小森収編 創元推理文庫 ●お願いしていた本が届いた。 『左門捕物帳 鷺十郎捕物帳』 横溝正史 捕物出版 『Re-ClaM eX vol.1』 とうとう、とうとう出たのだ左門…

「赤屋敷殺人事件」

●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第十六回として、昭和七年に雑誌『探偵小説』に掲載された、A・A・ミルン「赤屋敷殺人事件」を読む。作品自体を読むのはこれで三度目。過去の二回はあかね書房のジュブナイルと、創元推理文庫である。…

『サーカス・クイーンの死』 A・アボット 論創社

●『サーカス・クイーンの死』 A・アボット 論創社 読了。 まず、主人公サッチャー・コルトの造形がしんどい。警察本部長の立場で部下や協力者を夜中にたたき起こし、あれこれ命令し、怒鳴りつける。容疑者、関係者に対しては尊大で強引。自らの知見や仮説を…

『蘭郁二郎探偵小説選II』 論創社

●『蘭郁二郎探偵小説選II』 論創社 読了。 まず、全体的にトーンが明るく、ときにとぼけた可笑しさが漂う作風が好ましい。密室殺人をはじめとする不可能犯罪が頻出するのが楽しいし、その真相が他愛ない……と言っちゃあいけない、牧歌的なのも微笑ましい。…

『白昼艶夢』 朝山蜻一 出版芸術社

●『白昼艶夢』 朝山蜻一 出版芸術社 読了。 個人短編集の中には、内容が濃過ぎたり好みに合わなかったりで通読に骨の折れるものがある。本書がまさしくそのタイプで、いやどうも、疲れた。 とはいっても気に入った作品はある。「不思議な世界の死」、「変面…

『十二の奇妙な物語』 サッパー 論創社

●『十二の奇妙な物語』 サッパー 論創社 読了。 全体として、なんと素朴な作品集であることか。扱われているテーマは、愛するが故の嘘、義務と愛との相克、自己犠牲、裏切りと復讐、等々。外連味もなく、全体をひっくり返すような捻りもなく、それらのテーマ…

「殺人者はまだ来ない」

●某図書館から、お願いしていたコピーが届いた。予想よりも早い対応で、ありがたいことである。ブツは雑誌『EQ』に連載された、イザベル・マイヤーズの「殺人者はまだ来ない」全三回である。 去年論創社から出た『疑惑の銃声』は、ミステリとは次元の違う…

『天狗岬殺人事件』 山田風太郎 出版芸術社

●『天狗岬殺人事件』 山田風太郎 出版芸術社 読了。 「山田風太郎コレクション」の第一巻である。以下、気に入った作品にちょっとだけコメントを付ける。 ガス栓に(伏字)というネタが嬉しい「この罠に罪ありや」。全体的にナンセンスながらミステリの結構…

『グリーン・マン』 K・エイミス 早川書房

●『グリーン・マン』 K・エイミス 早川書房 読了。 長編怪奇小説である。一応は。M・R・ジェイムズが扱いそうな題材に現代的な味付けを施して長編に仕立てたような作品。現代イギリスの酒場兼宿屋「グリーン・マン」に、十七世紀に死んだはずの学者の幽霊…

『古書ミステリー倶楽部III』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『古書ミステリー倶楽部III』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 同一テーマのアンソロジーも三冊目ともなると、作品選択に苦労の跡がうかがえる。全ての文学はミステリである、と言ったのは阿刀田高だったか誰だったか記憶が曖昧だけれども、そ…

来週か再来週

●某図書館からようやく、コピー代金の納入通知書が届いた。直ちに手配をしたが、今日は土曜日である。実際に入金されるのは週明けになるだろう。その後コピー作業を行って郵送となると、ブツを入手できるのは早くても来週半ばになる。同封の書面には、入金確…

『岡村雄輔探偵小説選I』 論創社

●『岡村雄輔探偵小説選I』 論創社 読了。 収録作中のベストは「盲目が来りて笛を吹く」であった。ただし百点満点ではなくて、(伏字)過ぎるという部分に不満はある。犯人の計画の、根本的な部分でも引っかかりを感じる。が、それ以外は伏線沢山だし推理の…

『鉄仮面』 ボアゴベ 講談社文芸文庫

●『鉄仮面』 ボアゴベ 講談社文芸文庫 読了。 面白い。面白いぞボアゴベ。すっかり見直してしてしまった。冗長で退屈だろうとの事前の予想を大きくはずれて、いやもう、面白いのなんの。ボアゴベをミステリ作家の枠で捉えるのは間違っているのかもしれない。…