累風庵閑日録

本と日常の徒然

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

今月の総括

●昨日まで読んでいた論創社の飛鳥高を中断して、今日から別の本を読み始めた。飛鳥高がつまらないわけではなく、なんとなくの気まぐれである。 ●今月の総括。買った本:十二冊読んだ本:十冊 今月の創元推理文庫の、チェスタトンとディヴァインとをまだ買え…

『オールド・アンの囁き』 N・マーシュ 論創社

●『オールド・アンの囁き』 N・マーシュ 論創社 読了。 一見平和な田舎の村で起きた殺人に、ロデリック・アレン主任警部が挑む。物語の流れは、地道に手がかりを集め堅実に推理を積み重ねてゆくオーソドックスなスタイルで、読んでいて実に居心地がいい。 …

『鮎川哲也探偵小説選III』 論創社

●『鮎川哲也探偵小説選III』 論創社 読了。 ジュブナイル集である。いい歳したおっさんが読んで本気で楽しめるものではないけれども、ジュブナイルなりの面白さがあるわけで。それに、そもそも本書の意義は、今まで単行本未収録だった作品の数々が読める…

『マクシミリアン・エレールの冒険』 H・コーヴァン 論創社

●『マクシミリアン・エレールの冒険』 H・コーヴァン 論創社 読了。 なにしろ十九世紀後半の作品だから、ロジックや伏線の妙味を期待してはいけない。最初からそういうものだとわきまえて臨むと、これがなかなか楽しい読物で。帯にデカデカと書いてあるよう…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第十三回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第十三回として、第三巻の続きを読む。今回は「シヤアロツク・ホウムズの想ひ出」から、後半の五編を読んだ。 今更感想でもないので、一言だけ。「かたわ男」の名前ネタと「海軍條約文書事件」のベルのネタ…

『織姫かえる』 泡坂妻夫 文藝春秋

●『織姫かえる』 泡坂妻夫 文藝春秋 読了。 宝引の辰捕者帳の、文庫になっていない最終巻である。ミステリとしては、という視点はどうも違うようだ。むしろ事件とその解決とは脇に除けられている。会話はなんともお気楽呑気太平楽だし、事件を語る筆に陰惨さ…

ドーカス・デーン

●本日は文学フリマ東京が開催される。神保町横溝倶楽部さんで、同人誌『ネタバレ全開! 横溝正史読書会レポート集』を委託頒布するので、浜松町駅で合流して手渡す。その後私は自分なりの買物をして、会場を離脱。 ●今回買った本。 『『新青年』趣味XXI』…

第六回オンライン横溝正史読書会『壺中美人』

●第六回オンライン横溝正史読書会を開催した。課題図書は『壺中美人』およびその原型短編『壺の中の女』である。原型版は昭和三十二年に雑誌『週刊東京』に連載された。それを改稿して長編化したものが『壺中美人』で、初刊は昭和三十五年の東京文藝社版であ…

『天皇の密使』 J・P・マーカンド 角川文庫

●『天皇の密使』 J・P・マーカンド 角川文庫 読了。 「ミスター・モトの冒険」という副題が付いている。舞台設定は満州国成立後の中国、日ソ対立が国際的注目を受けていた時期である。視点人物はアメリカの青年ゲーツ。心に屈託を抱いて、モンゴルに行こう…

『薄灰色に汚れた罪』 J・D・マクドナルド 長崎出版

●『薄灰色に汚れた罪』 J・D・マクドナルド 長崎出版 読了。 トラヴィス・マッギーシリーズを読むのは始めてである。人気シリーズだったというから、手慣れた感じで書かれた私立探偵小説の派生形だと思っていた。ところがその予想は大きく外れ、実際は土地…

『花の通り魔』 横溝正史 徳間文庫

●『花の通り魔』 横溝正史 徳間文庫 読了。 前回読んだのは九年前。論創社の『横溝正史探偵小説選IV』に収録されている、短い初出バージョンを読んだのは去年である。今回は、来週に予定されている横溝正史オンライン読書会に向けた準備である。読書会の課…

『渡辺啓助探偵小説選II』 論創社

●『渡辺啓助探偵小説選II』 論創社 読了。 いくつか気に入った作品にコメントを付けておく。起承転結の転がお見事な「黒猫館の秘密」、劇団の仕掛けが意外な「モンゴル怪猫伝」、そういう意外性が仕掛けられていること自体が意外だった「女王の浴室」。 結…

『ブランディングズ城の夏の稲妻』 P・G・ウッドハウス 国書刊行会

●『ブランディングズ城の夏の稲妻』 P・G・ウッドハウス 国書刊行会 読了 ウッドハウスはもう飽きた。味わいがみんな一緒なのだよ。国書刊行会の本を一通り買ってあるからそれなりの数の積ん読はあるけれども、もういいから読まずに処分してしまおうかとも…

『川野京輔探偵小説選II』 論創社

●『川野京輔探偵小説選II』 論創社 読了。 コメントを付けたいと思える作品は多くない。気に入ったのは以下の辺り。予想を超える展開が奇天烈な「夜行列車の見知らぬ乗客」、ビルが消えてしまうという謎の設定が魅力的な「消えた街」、真相が判明するきっ…