2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧
●『氷川瓏集 睡蓮夫人』 ちくま文庫 読了。 怪奇探偵小説名作選の第九巻である。一番面白かったのが、「風原博士の奇怪な実験」であった。題材、展開、結末と、どれをとっても戦前のいわゆる変格探偵小説の味わいが濃厚である。「春妖記」は、都会の喧騒を離…
●国会図書館で、横溝ジュブナイルが掲載された少年誌の所蔵状況を確認。ジュブナイル作品の多くが角川文庫で読めるので、今まではそれで満足していた。だが、視野に入れていなかった初出テキストに関心を持つと、これがなかなかコピーしがいのある分量のよう…
●金曜から二泊三日の行程で北海道に行き、北海道立図書館を訪れた。文献系横溝マニアの三人で調査隊を組み、関連する文献調査に取り組むのである。道立図書館の所蔵資料については、(1/21)の日記に書いてある。●土曜の一日を使い、開館の九時から閉館の十…
●ちくま文庫の氷川瓏を読み始めた。悪くない。が、今後しばらく諸事情のため、まとまった読書時間を確保できなくなる。読了は来月にまで持ち越すかもしれん。
●『沈黙の函』 鮎川哲也 カッパ・ノベルス 読了。 安心安定の鮎川印。面白かった。でも今日はいろいろ感想を書く気力がないので、これだけ。
●『白魔』 R・スカーレット 論創社 読了。 よくもまあスカーレットは、こんなオーソドックスな、外連味に乏しい、地味なミステリを書いてくれたものである。血沸き肉躍る、といった類の面白さはないが、いかにもクラシックパズラーらしい味わいに、読んでい…
●午前中は野暮用。●午後からジムに行くつもりだったが、なんとなく気分が乗らずサボる。フリーの時間ができたけれども、しっかりした長編小説を読む気にもならず。しょうがないので「横溝正史の「不知火捕物双紙」をちゃんと読む」プロジェクトの第二回をや…
●『ライチェスタ事件/大破滅』 春陽堂 読了。 昭和五年に刊行された、探偵小説全集第十九巻である。収録作の内、ウエルシーニンの「大破滅」は先日読んだ。今回はフレツチヤア(表記ママ)の「ライチェスタ事件」を読む。 探偵役の造形が素晴らしい。あから…
●『人喰い』 笹沢佐保 出版芸術社 読了。 二転三転する展開に多くのネタを盛り込んだ秀作。よくできた描写、と思っていたまさにそのポイントがメインの仕掛けだったのには感心した。サラリーマン社会の嫌らしさがじっとりと描かれている部分にはちとうんざり…
●『雪の墓標』 M・ミラー 論創社 読了。 脇役を含めた多くの人々がそれぞれの不幸を抱えていて、なかなかヘヴィーな内容である。例えば、ふとしたきっかけでそれまで全く飲まなかったアルコールに溺れ、依存症の泥沼にはまる女。現状に不満を募らせ、具体的…
●『シャーロック・ホームズの光と影』 G・ノウン 東京図書 読了。 「緋色の研究」を初めて出版したワード・ロック社が、刊行百年を記念して出した本だそうな。内容は三部構成で、ドイルの伝記、ホームズの人となり、実際のビクトリア朝社会の様子、となって…
●『運命』 R・マクドナルド ポケミス 読了。 どうも読むタイミングが中途半端だったようだ。去年の十二月に、原型となった中編「運命の裁き」を読んだ。原型版の内容をぼんやりと覚えているので、少なくとも前半は新鮮味に乏しい。原型版の内容をぼんやりと…
●書店に寄って本を買う。『ミドル・テンプルの殺人』 J・S・フレッチャー 論創社『甲賀三郎探偵小説選II』 論創社
●『二十世紀鉄仮面』 小栗虫太郎 扶桑社文庫 読了。 すでに私は、虫太郎の超絶論理を面白いと思えなくなっている。精神の柔軟性を失った、ある種の老化である。残念なことだが、やむを得ない。 そんな状態で手に取った本書だが、表題作は意外にも面白かった…
●昨日気付いて持ち帰った宿題がある。横溝正史のジュブナイル作品の、初出テキスト入手のための事前準備である。現在ジュブナイルで最も広く流布しているのは、角川文庫版だろう。ところがその多くは、文章に山村正夫の手が入っているらしい。特に甚だしいの…
●『灰色の魔法』 H・ランドン 論創社 読了。 ランドンの著作を読むのは三冊目。本書もまた既読作と同様、一つの場面がやけに長ったらしく、スピード感に欠ける。やはりこの人はこういう作風なのだろう。 冒頭の謎はよくある設定で、典型なりの面白さがあっ…
●『アンブローズ蒐集家』 F・ブラウン 論創社 読了。 阿刀田高の代表的短編を連想する題名が、読む前から不穏な空気を漂わせている。だが、内容はどうも雲をつかむようで。何しろ事件の手がかりが全くなく、人が失踪したという以上の状況がなかなか見えてこ…