累風庵閑日録

本と日常の徒然

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

九番館

●お願いしていた本が届いた。 『完訳版・秘中の秘』 ル・キュー ヒラヤマ探偵文庫 『九番館』 長田幹彦 ヒラヤマ探偵文庫 ●今月の総括。 買った本:十五冊 読んだ本:十冊 今月も、私家版や同人誌の類を多く買った。その他に新刊の直販もある。一般のリアル…

『サイモン・アークの事件簿III』 E・D・ホック 創元推理文庫

●『サイモン・アークの事件簿III』 E・D・ホック 創元推理文庫 読了。 ぐっと来たポイント別に、気に入った作品を挙げておく。真相に至るロジックの積み重ねが嬉しいのは「海の美人妖術師」。謎の設定が魅力的なのは「過去から飛んできたナイフ」、「黄…

不知火捕物双紙

●お願いしていた本が届いた。 『不知火捕物双紙』 横溝正史 捕物出版 正史初の捕物シリーズ全編に加え、紫甚左と南無三甚内も同時収録の逸品である。素晴らしい。 ●光文社文庫の江戸川乱歩『新宝島』から、「偉大なる夢」を読んだ。内容については特にコメン…

千金

●土曜から月曜にかけて、岡山県は倉敷市で開催の横溝正史イベントに行ってきた。題して「巡・金田一耕助の小径 1000人の金田一耕助」、通称「千金」である。初日土曜がメインで、翌日曜は関連の講演会。月曜は移動日である。例年なら日曜の寝台特急で戻…

『至妙の殺人』 L・J・ビーストン/S・オーモニア 論創社

●『至妙の殺人』 L・J・ビーストン/S・オーモニア 論創社 読了。 ◆ビーストン集 オチ一発勝負ではなくて途中の展開も面白かったのは、トラブル解決のアイデアがなるほどと思える「約束の刻限」、パイプの持ち主をもっともらしい推理で突き詰めてゆく「パ…

「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」第十七回

●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第十七回をやる。 ◆「休暇の快適な利用法」 レデイ・キチー・ヴインセント (昭和十年『新青年増刊』) 「秘訣の秘訣」という枠で、次の「自動車の上手な買ひ方」と合わせて掌編集を構成しているようだ…

『さよならブルートレイン』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『さよならブルートレイン』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 寝台特急ブルートレインを題材にしたアンソロジーである。森村誠一「殺意の接点」は、崩すべきアリバイの堅牢さも、複数の要素を反映した真相も、ちょっとしたもの。島田一男「新婚特…

『バービカンの秘密』 J・S・フレッチャー 論創社

●『バービカンの秘密』 J・S・フレッチャー 論創社 読了。 正直なところ、フレッチャーの長編はあまり高い評価をしていない。ならば短編はどんなものかと、少々警戒しながら読み始めたのだが。これがどうも、実に面白い。フレッチャーを見直した。名作!傑…

『水上幻一郎探偵小説選』 論創社

●『水上幻一郎探偵小説選』 論創社 読了。 好みから外れる要素が頻出するので、どうやら私とは合わないようだ。その要素とは、特異体質、共犯の多用、都合の良すぎる偶然、読者の知らない手がかり、ってなもんで。アイデアをいくつも作品に盛り込むのはいい…

バービカンの秘密

●書店に寄って本を買う。 『銀幕ミステリー倶楽部』 新保博久編 光文社文庫 『中世の罪と罰』 網野善彦他 講談社学術文庫 ミステリー文学資料館が休館になったので、今まで続いてきたアンソロジーの新刊は個人編者名義になったということか。巻末解説による…

『鉄鎖殺人事件』 浜尾四郎 桃源社

●『鉄鎖殺人事件』 浜尾四郎 桃源社 読了。 河出文庫で出たのをきっかけに読もう読もうと思っていたのだが、あっという間に二年経ってしまった。収録は表題作と、中編「博士邸の怪事件」である。 ◆「鉄鎖殺人事件」 突っ込みたい点はあれど、そこはぐっと我…

高架線の戦慄

●各方面にお願いしていた本がいろいろ届いた。 『冷蔵庫の中の屍体』 楠田匡介 noir punk press 『高架線の戦慄』 M・G・エバハート 湘南探偵倶楽部 『火傷をした楠田匡介』 大下宇陀児 湘南探偵倶楽部 『浜尾四郎全集2 殺人鬼』 沖積舎 本は、桃源社の浜…

「女怪」

●午前中、横溝正史の短編「女怪」を再読。そのココロは。 午後から、浅草の昭和モダンカフヱ&バー「西浅草黒猫亭」で朗読ライブが開催される。開店二周年記念イベントだそうで。そこで題材となるのが、件の「女怪」なのである。予習として、まずは作品を読…

『ポジオリ教授の冒険』 T・S・ストリブリング 河出書房新社

●『ポジオリ教授の冒険』 T・S・ストリブリング 河出書房新社 読了。 探偵が推理によって事件の意外な真相を解き明かす。と書けば型通りの短編集なのだが、本書はその意外さの質がどうも異様である。また、ポジオリ教授と相手との会話がどことなく噛み合わ…

『お楽しみの埋葬』 E・クリスピン ハヤカワ文庫

●『お楽しみの埋葬』 E・クリスピン ハヤカワ文庫 読了。 こいつは傑作。とにかくまず、読んで面白い。個性が際立って魅力的な人々が繰り広げる、軽快でどこか奇妙な物語。その中で、ミルズ牧師の家にまつわるエピソードには驚く。こんな突拍子もないネタを…

『岡村雄輔探偵小説選II』 論創社

●『岡村雄輔探偵小説選II』 論創社 読了。 二巻目の本書の方が断然読みやすい。「ミデアンの井戸の七人の娘」のような装飾過多な書きっぷりが無くなり、堅実な味わいが出てきた。収録作中では、「幻女殺人事件」と「通り魔」とが双璧であった。 メインの長…

『葬儀を終えて』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『葬儀を終えて』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 読むのは二度目。以前実家の本を整理したとき、既読のハヤカワ文庫が見あたらなかった。気になっていたところにクリスティー文庫が発刊されたので、新刊で買っておいた。それ以来積ん読だったの…