累風庵閑日録

本と日常の徒然

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『奇想の復活』 鮎川哲也/島田荘司編 立風書房

●『奇想の復活』 鮎川哲也/島田荘司編 立風書房 読了。 「ミステリーの愉しみ」の第五巻である。本書には好みから遠く隔たった作品がちょいちょい含まれていて、ページをめくる手が止まりがちであった。読了するのに予想以上に日数がかかってしまった。 個…

新シャーロック・ホームズの冒険

●図書館から借りてきたノンフィクションを読んでいたのだが、飽きた。こいつはもう中断して、返却してしまうことにする。明日から別の本を読み始める。そっちはそっちで八百ページの大部なので、しばらく読書日記は更新できないだろう。 ●書店に寄って本を買…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第二十七回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第二十七回。今回から第六巻に取りかかり、「ジエラール旅團長の武勇傳」を読んだ。今はすっかり老いてしまったジェラールが、若かりし頃ナポレオンに仕えて縦横無尽に欧州を馳せ巡り、数々の武勲を立てた思…

『ようこそウェストエンドの悲喜劇へ』 P・ブランチ 論創社

●『ようこそウェストエンドの悲喜劇へ』 P・ブランチ 論創社 読了。 舞台は、今にも潰れそうな雑誌の編集部。ある主要メンバーが狂言自殺を企てたことがきっかけで、てんやわんやの大騒動が持ち上がる。関係者それぞれの勝手な思惑と誰にも予期できない偶発…

『二百万ドルの死者』 E・クイーン ハヤカワ文庫

●『二百万ドルの死者』 E・クイーン ハヤカワ文庫 読了。 クイーン名義であるが、実際は別人が書いたというのは周知であろう。実作者がクイーンであろうがなかろうが、やけに面白いのだこれが。内容を一言で表すなら、行方不明になっている戦争の英雄を探し…

『黒の血統』 三橋一夫 出版芸術社

●『黒の血統』 三橋一夫 出版芸術社 読了。 ふしぎ小説集成の第三巻、最終刊である。私の苦手な人情咄がちょいちょい含まれていて、その点はしんどかった。気に入った作品は、殺人犯を捜すまっとうなミステリのようでいながら頭の天辺に生えた耳が題材だとい…

『ワトスンの選択』 G・ミッチェル 長崎出版

●『ワトスンの選択』 G・ミッチェル 長崎出版 読了。 読者の予想をはぐらかすようなずらしが奇妙な味わいを醸し出す。何かの伏線かと思える描写が結局なんでもなかったり。特に某人物の(伏字)なんて異色すぎる職業が、結局物語に関係なかったのはなんだっ…

『太鼓叩きはなぜ笑う』 鮎川哲也 創元推理文庫

●『太鼓叩きはなぜ笑う』 鮎川哲也 創元推理文庫 読了。 三番館シリーズをまとめて読むのは初めてだ。収録作中のベストは、初刊には収録されていなかったという「竜王氏の不吉な旅」であった。犯人の仕掛けがお見事だし、その仕掛けをこういう風に見せた書き…

『恐怖は同じ』 C・ディクスン ポケミス

●『恐怖は同じ』 C・ディクスン ポケミス 読了。 十八世紀末のロンドンを舞台に、主人公の快男児が決闘に謎解きに逃避行にと縦横に活躍する。ちょいと痛快な時代劇である。現代に生きる主人公とヒロインとが、なんだか知らんけど百五十年前にタイムスリップ…

『水底の妖』 R・V・ヒューリック ポケミス

●『水底の妖』 R・V・ヒューリック ポケミス 読了。 狄判事シリーズである。互いに関係があるような無いような複数の事件が、同時並行で語られる。最終的にそれらをきっちり解決してみせる構成力がお見事。密室からの人間消失や死体入れ替わりといった趣向…

『アーマデイル』 W・コリンズ 臨川書店

●『アーマデイル』 W・コリンズ 臨川書店 読了。 コリンズ傑作選の、第六巻から第八巻まで三巻に渡る長編である。主人公は同姓同名のふたりのアラン・アーマデイル。その昔アランAの父親がアランBの父親を殺したことは、アランAしか知らない。Aは固い友…