2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧
●注文していた本が届いた。『十三の階段/悪霊物語』 日下三蔵編 春陽堂書店 ●今月の総括。買った本:十冊読んだ本:十一冊
●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第三十七回として、第八巻の短編集「最後の戦艦」から後篇の八編百ページほどを読んだ。前篇は、作者の言葉によると歴史ノンフィクションと小説との中間を目指したようだが、後篇はすっかり小説である。気に…
●『夜光虫』 横溝正史 角川文庫 読了。 今月上旬から三週間ほどかけて、隙間時間に細切れで読んでいった。この作品は、九月に大阪で開催される横溝読書会の課題図書である。この読書会は特別開催で、横溝系イベントの第二部として企画されている。 九月だか…
●『フランケンシュタインの工場』 E・D・ホック 国書刊行会 読了。 なんとも派手な作品である。本土との連絡手段を絶たれた孤島で、ほい一人死んだ、それもう一人死んだ、とコロコロ殺されてゆく。個々の殺人について深く検討する暇もなく、連続殺人のサス…
●『怪奇人造島』 寺島柾史 パール文庫 読了。 巻末の記載によれば、この作品の底本は三一書房の少年小説体系である。だが、それ以外の書誌情報はない。たまたまこの作品は青空文庫にも収録されており、付随する情報によると初出は昭和十二年、雑誌「日本少年…
●『災厄の紳士』 D・M・ディヴァイン 創元推理文庫 読了。 登場人物の造形がしっかりしていて、良くも悪くも個性的。そんな彼らが織り成す日常生活が活き活きと描かれ、ミステリだからサスペンスも孕んで面白く、ぐいぐい読める。たとえば主人公格のサラ・…
●『七之助捕物帖 第二巻』 納言恭平 捕物出版 読了。 三百ページほどの本に二十一編も収録されている。二十ページに満たない作品ばかりなので、伏線を散りばめてロジックで真相に至る構成にするには分量が足りない。かといって捻りと切れ味とで勝負する作風…
●『名探偵登場』 山村正夫編 青樹社 読了。 八人のミステリ作家が合議の上一人の名探偵キャラクターを創造し、彼を主人公にした短編ミステリをそれぞれ書くというアンソロジー。真相があまりにも……な作品や、私の嫌いな人情噺臭が漂う作品があって、個人的な…
●『マリンゼー島連続殺人事件』 D・ホイートリー 中央公論社 読了。 捜査ファイル・ミステリーシリーズの第三巻。わずか八十ページほどで連続殺人を描く、なかなかに忙しい作品である。しかも第一の殺人は密室だというにぎやかさ。添付の小道具に手掛かりが…
●『サハラに舞う羽根』 A・E・W・メースン 創元推理文庫 読了。 熱い物語であった。三角関係どころか、四人の男女の惚れたハレたが熱っぽく語られる。同時に、主人公の名誉回復と成長の物語でもある。ひたすら相手の幸せを願い、自らの信条に基づいて自ら…
●『愛の終わりは家庭から』 C・ワトスン 論創社 読了。 複数の物語が並行して語られる。一方は殺人事件で、シリーズキャラクターのパーブライト警部が捜査に取り組む。もう一方は、私立探偵がなにやら依頼をこなそうとしている。依頼主との会話では関係者の…
●『吸血鬼の島』 森英俊/野村宏平編 まんだらけ出版部 読了。 副題は「江戸川乱歩からの挑戦状I SF・ホラー編」である。主に昭和三十年代に少年誌に連載された、乱歩名義の探偵クイズ集。というのは器の話で、実際は推理どころか本文中の単語を抜粋した…
●『骨と髪』 L・ブルース 原書房 読了。 事件の依頼人は、従妹がその夫に殺されたと主張している。主人公キャロラス・ディーンが調査を進めると、次第におぞましい大量殺人の可能性が浮上してくる。しかしながら可能性はいつまで経っても可能性でしかなく、…