累風庵閑日録

本と日常の徒然

2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

春姿七福神

●「横溝正史の「左門捕物帳」をちゃんと読む」プロジェクト。今回は第六話「春姿七福神」を読む。 当時江戸で名が知られた七人を、七福神に見立てた錦絵が大評判。筆頭の大黒天になぞらえられたお大尽、大黒屋惣兵衛が、この趣向をいたく気に入った。そこで…

『芙蓉屋敷の秘密』 横溝正史 角川文庫

●倉敷旅行に持参してあまり読めなかった『芙蓉屋敷の秘密』 横溝正史 角川文庫 を、ようやく読了。「富籤紳士」は、主人公並河三郎の生活ぶりが哀れで可笑しく情けなく、とほほほ、とでも言う他はない。「舜吉の綱渡り」は、突拍子もない結末に唖然とする。…

1000人の金田一耕助

●土曜から今日までで、岡山県に行ってきた。倉敷市で開催されるイベント「1000人の金田一耕助」に参加したのである。●詳細はばっさり省略。実際に参加した者だけが経験できる面白さがある。●イベント後に「意見交換会」という名の懇親会に参加。そこから…

『誰でもない男の裁判』 A・H・Z・カー 晶文社

●『誰でもない男の裁判』 A・H・Z・カー 晶文社 読了。 収録作中のベストは「姓名判断殺人事件」である。殺人の真相よりも、背景の意外さが上出来。題名もちゃんと活きている。短編ならではの鋭い切れ味や予想外のオチといったものを期待して手に取った本…

気分ではない

●ついに、シーズン初の暖房稼働。オイルヒーターのじんわりとした温かさが嬉しい。●昨日の休日は、文学フリマ、秋田蘭画、祝賀会と、イベント沢山な一日であった。だが帰宅が遅く酔ってもいたので、日記の更新はできなかった。で、今日になるとどうも、昨日…

『ハーバード同窓会殺人事件』 T・フラー 論創社

●『ハーバード同窓会殺人事件』 T・フラー 論創社 読了。 最初の一行目で死体が登場し、その後は関係者に対する尋問の繰り返し。装飾の少ない、びっくりするくらいストレートな展開である。少なくとも中盤までは、そこにあるのはただミステリの面白さだけ。…

深夜の市長

●書店に寄って本を買う。『深夜の市長』 海野十三 創元推理文庫●お願いしていた本が届いた。『あらしの白ばと 悪魔の家の巻』 西條八十 盛林堂ミステリアス文庫

よきサマリア人の冒険

●某図書館に遠征。クイーンのラジオドラマシナリオやノベライズで、雑誌『EQ』に訳載されたきりになっている六編を複写してきた。「見えない時計」「よきサマリア人の冒険」「ハネムーン・ハウス」「見えざる手がかり」「案山子と雪だるまの冒険」「幽霊洞…

『妖異百物語 第二夜』 鮎川哲也・芦辺拓編 出版芸術社

●『妖異百物語 第二夜』 鮎川哲也・芦辺拓編 出版芸術社 読了。 「第一夜」を読んだのはもう三年前になる。今回ようやく「第二夜」を読んだ。帯には「恐怖小説名作選」と謳われているが、ミステリからSFまで、バラエティに富んだ作品が集められている。戦…

ネズミの血の冒険

●国会図書館に依頼していた複写資料が届いた。雑誌『EQ』や『ミステリマガジン』に訳載されたきりになっている、クイーンのラジオドラマシナリオである。「暗闇の弾丸」「放火狂の冒険」「ネズミの血の冒険」「一本足の男の冒険」「怯えたスターの冒険」「…

『暗闇の鬼ごっこ』 B・ケンドリック 論創社

●『暗闇の鬼ごっこ』 B・ケンドリック 論創社 読了。 謎の設定はなかなか魅力的。万年筆、小銭、文鎮、ブラインドの紐……手掛かりが有り余るほどなのに、それらの意味が分からない。そんな状況で、次々と「自殺」してゆく関係者達。 名探偵のお約束である、…

マンドレークの声

●お願いしていた本が届いた。『マンドレークの声』 杉みき子 龜鳴屋石川県の出版社「龜鳴屋」さんから出た、ミステリ関連の本である。副題は「杉みき子のミステリ世界」とある。本書のことは、ツイッターで知った。こういう情報をサクッと得られるのが、ツイ…

『迷走パズル』 P・クェンティン 創元推理文庫

●『迷走パズル』 P・クェンティン 創元推理文庫 読了。 探偵役が、事件を解決しなければならない切実な理由を持っている。いわば探偵自身の事件である。その緊迫感が先を読ませる強い原動力となっている点は、大いに買う。だが、犯人の条件が(伏字)という…

オシリスの眼

●最寄りの書店になかった本を、わざわざ車で三十分ほどかけて買いに行く。『オシリスの眼』 R・A・フリーマン ちくま文庫ROM叢書版が手元にあるけど、そこはそれ。

街中うろうろ

●電車に乗って街に出る。東京都千代田区にある国立公文書館で、「書物を愛する人々」と題する展示を観るのである。重要文化財の書物が何点も展示されており、なかでも、完本は世界でここだけという宋時代の韻書「宋版鋸宋広韻(そうはんきょそうこういん)」…

『人魚とビスケット』 J・M・スコット 創元推理文庫

●『人魚とビスケット』 J・M・スコット 創元推理文庫 読了。 序盤の設定がいい感じ。語り手の境遇に、身につまされるものがある。輝かしい自由を象徴する大海を夢想しながら、生活費を稼ぐために興味のない仕事を続けなければならない日々。気心の知れた仲…

『エラリー・クイーンの事件簿1』 E・クイーン 創元推理文庫

●『エラリー・クイーンの事件簿1』 E・クイーン 創元推理文庫 読了。「消えた死体」 映画脚本を、クイーンとは別の書き手が小説に仕立てたのだそうな。ということはつまり、パスティシュのようなものである。最初からパスティシュだと思って読めば、これが…

『淑女怪盗ジェーンの冒険』 E・ウォーレス 論創社

●『淑女怪盗ジェーンの冒険』 E・ウォーレス 論創社 読了。 なにしろ作者があの大流行大衆作家ウォーレスだから、内容はさっと読んですぐに忘れればいい他愛ないスリラーだろうと思っていた。そうやって期待値を下げて臨んだおかげか、確かに通俗味が勝って…

緑の髪の娘

●昨日仕込んでおいたイクラ醤油漬けで、今日は朝からイクラ丼♪……さすがに朝晩喰うと、くどくなる。●電車に乗って街に出て、書店で本を買う。『緑の髪の娘』 S・ハイランド 論創社『ネロ・ウルフの事件簿 アーチー・グッドウィン少佐編』 R・スタウト 論創…

『いい加減な遺骸』 C・D・キング 論創社

●『いい加減な遺骸』 C・D・キング 論創社 読了。 毒殺手段の真相はお世辞にもスマートは言えず、ちょいと拍子抜け。だが、そのネタを核にして構築された謎の演出とロジックとはよく考えられていて、ミステリの面白さを十分に味わえる。また、毒殺手段と密…

『魔婦の足跡』 香山滋 扶桑社文庫

●『魔婦の足跡』 香山滋 扶桑社文庫 読了。 表題作は、ちょいとお色気を漂わせた妖女ものサスペンス。こういうのはあまり趣味ではなく、ずっと平熱のまま読み進める。ところが、終盤の展開はまるで予想外であった。そんじょそこらのサスペンス小説の枠に到底…

保篠龍緒探偵小説選

●書店に寄って本を買う。『保篠龍緒探偵小説選I』 論創社『挿絵叢書 竹中英太郎(三) エロ・グロ・ナンセンス』 末永昭二編 皓星社論創海外はまだ見当たらなかった。