累風庵閑日録

本と日常の徒然

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

今月の総括

●今月の総括。買った本:四冊読んだ本:十冊 購入量が少なくて、いいことである。

『加納一朗探偵小説選』 論創社

●『加納一朗探偵小説選』 論創社 読了。 収録の三長編を、先月から一編ずつ読んでいった。 「ホック氏の異郷の冒険」 その昔角川文庫で読んでいるが、内容は全く覚えていないので初読同然である。一歩一歩着実に事件がほぐれてゆく展開が私好み。隠し場所に…

『森下雨村探偵小説選III』 論創社

●『森下雨村探偵小説選III』 論創社 読了。 第二巻を読んで、雨村の作風は分かっている。偶然に偶然を重ねてその上から偶然を振り撒くのだ。最初から期待値低めで臨んだので、ロジックや推理の妙味がわずかでも漂っていればそれなりに満足である。 「魔の…

『ミステリは万華鏡』 北村薫 集英社文庫

●『ミステリは万華鏡』 北村薫 集英社文庫 読了。 ミステリを中心に、文学や絵画やその他いろいろまで広い題材を扱うエッセイ集である。どうもこういうものの感想を書ける気がしない。読んだという記録としてここに書いておく。

『首』 横溝正史 角川文庫

●『首』 横溝正史 角川文庫 読了。 「生ける死仮面」 グロさを前面に出した愛欲と情念の物語(伏字)のが気に入った。 「花園の悪魔」 同年に発表された長編「幽霊男」から、いくつかの要素を抜き出して再構成したような作品。動機の異様さが甚だしい。 「首…

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第十回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第十回として、第二巻を読み進める。今回読むのは、「シヤアロツク・ホウムズの事件録」の後半六編である。 「這ふ男」は、物語をあそこで終わらせずにもっと発展させたらストレートな(伏字)ホラーになる…

『小酒井不木探偵小説選II』 論創社

●中断していた『小酒井不木探偵小説選II』 論創社 を再開して読了。 霧原警部ものの二編「呪はれの家」と「謎の咬傷」とは、科学的捜査法が作者の意図した読みどころなのかもしれんが、むしろ奇天烈な真相の方が記憶に残る。シリーズ以外にも、題名は書か…

『村山槐多 耽美怪奇全集』 学研M文庫

●『村山槐多 耽美怪奇全集』 東雅夫編 学研M文庫 読了。 およそどんな対象にも、マニアさんはいるだろう。村山槐多マニアにとっては、本書は感涙ものの一冊ではないかと想像する。収録内容は小説に詩に、ノンフィクションの紀行文まで。なんと未完成の作品…

誤配書簡

●読んでいた論創ミステリ叢書の、ページをめくる手が止まってしまった。つまらないわけではないのだが、どうも頭が受け付けなくなった。こういうことはたまにあるのだ。中断して明日から別の本を読むことにする。 ●注文していた本が届いた。 『誤配書簡』 W…

『ロンリーハート・4122』 C・ワトソン 論創社

●『ロンリーハート・4122』 C・ワトソン 論創社 読了。 これは上出来。結婚相談所を巡るふたつの筋道が並行して語られる。そのうち片方では、女性二人の行方不明事件にシリーズキャラクターのパーブライト警部が取り組む。やがて結婚詐欺師に殺された死…

『番町皿屋敷』 四代目旭堂南陵・堤邦彦編 国書刊行会

●『番町皿屋敷』 四代目旭堂南陵・堤邦彦編 国書刊行会 読了。 副題に「よみがえる講談の世界」とある。明治時代に刊行された講談速記本の翻刻だそうで。特別付録として、南陵師匠が語る皿屋敷の口演CDが付いている。 皿屋敷の物語をちゃんと読むのは初め…

『マギル卿最後の旅』 F・W・クロフツ 創元推理文庫

●『マギル卿最後の旅』 F・W・クロフツ 創元推理文庫 読了。 今や記憶も定かではない四十年近く昔、あかね書房の少年少女世界推理文学全集で読んだ。内容は忘却の彼方だし、今回は大人向けの訳だし、ほぼ初読と言っていい。 なかなかの難事件で、捜査陣は…

『鮎川哲也探偵小説選』 論創社

●『鮎川哲也探偵小説選』 論創社 読了。 「白の恐怖」は再読。桃源社版を読んだのは十三年前である。忘れていた真相を途中で思い出すと、なるほどこのネタだったら(伏字)でないといけないってのが理解できる。 挿絵も含めて五ページほどの掌編シリーズ「探…