2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧
●honto経由で取り寄せを依頼していた本を受け取ってきた。 『列車探偵ハル』 M・G・レナード&S・セッジマン ハヤカワ・ジュニア・ミステリ ●今月の総括。 買った本:七冊 読んだ本:十一冊
●『金蠅』 E・クリスピン ポケミス 読了。 今日はどうも気力が無いので、読んだという事実だけを記しておく。殺人手段の外連味が上々。今風の新訳で再刊されればイメージがまるで変わってきそうな作品である。
●『千両文七捕物帳 第一巻』 高木彬光 捕物出版 読了。 設定は実に典型的。主人公は男前の捕物名人。子分はお顔の方がちょいと心細い粗忽者。上司の与力もライバルの横暴な目明しも、ちゃんと登場する。そういう記号的な人物配置なので、こりゃあどうもあま…
●第四回オンライン横溝読書会を開催した。課題図書は「幽霊男」。雑誌『講談倶楽部』に、昭和二十九年に連載された作品である。参加者は私を含めて十名。 ●会ではネタバレ全開だったのだが、このレポートでは当然その辺りは非公開である。なお各項目末尾に数…
●『飛鳥高探偵小説選II』 論創社 読了。 メインの長編「死を運ぶトラック」は、結末が(伏字)点を除けばなかなかの秀作であった。序盤の謎とそこから派生するテーマは、巻末解題にあるようにアイリッシュを思わせるサスペンスがあってなるほどと思う。警…
●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第七回として、第二巻を読み始める。今回は「シヤアロツク・ホウムズの冒險」の前半六編を読む。訳者は延原謙。いまさら感想でもないけれども、いくつかコメントしておく。 「ボヘミヤの醜聞事件」は短編第…
●『暗い鏡の中に』 H・マクロイ ハヤカワ文庫 読了。 展開の起伏を優先するために、ちょいちょい偶然を頼りにしている部分には引っかかった。だが全体は良く練られていて、様々な要素が収まるべきところに収まる真相は気持ちいい。詳しくは書けない物語全体…
●『帽子蒐集狂事件』 J・D・カー 論創社 読了。 創元推理文庫の『帽子収集狂事件』をいつ読んだのか記憶が定かでないが、三十年以上昔なのは確実。当然内容はすっかり忘れているから、初読同然である。それでも、読んでいるうちになんとなく思い出してきた…
●『香住春吾探偵小説選II』 論創社 読了。 西萩署のシリーズ全五作は、どれも上々の出来栄えであった。第一作「吾助の帰宅」の序盤までは、個性的で破天荒な人々が繰り広げる、犯罪が絡むどたばた劇だと思ったのだが。その予想はいい方向に覆ることになる。…
●隙間時間で細切れに読んでいた、『幽霊男』 横溝正史 角川文庫 をようやく読了。来週末に開催されるオンライン横溝読書会の課題図書である。内容に関するあれこれは、レポートを兼ねて読書会当日の日記に書くことにする。 ●国会図書館から、「幽霊男」の初…
●『真鍮の家』 E・クイーン ポケミス 読了。 途中まで宝探しへの興味が中心で、殺人の謎への興味が背景に引っ込んでいるのがちと心細い。だが読み終えてみれば殺人に関してもきちんとひとネタ盛り込んであり、なるほどそういう趣向かと納得する。 隠し場所…
●『若さま侍殺生剣』 城昌幸 桃源社 読了。 中編が二編収録されている。「おどろ踊り」 武州武甲山に巣くう狐遣いの集団。その討伐のため忍藩が差し向けた一行に、若さまが紛れ込んでいた。若さまは、江戸で起きた怪事件の遠因が武甲山にあると知って、真相…
●『殺人をもう一度』 A・クリスティー 光文社文庫 読了。 先日読んだ「五匹の子豚」の戯曲バージョンである。小説版の記憶がまだ新しいうちにと思って手に取ったのだが、その判断は正解だった。事実上の再読で細かい部分まで覚えているので、状況の裏の意味…
●光文社文庫の江戸川乱歩全集『ぺてん師と空気男』から、「仮面の恐怖王」を読む。終盤の展開に関わるから詳しくは書けないけれども、ふたつの点でシリーズとしてはかなり異色なのではなかろうか。 もうひとつ。初めて明智小五郎と話す敵役が、世間ではおれ…
●『赤沼三郎探偵小説選』 論創社 読了。 収録作中のベストは「地獄絵」で、主人公マイトの徳の造形が秀逸。不敵な物腰の、炭鉱夫の棟梁。荒っぽい鶴嘴稼業連中を統べるだけの、度胸と侠気とを備えている。物語開始時点では、ストライキを指揮して炭鉱の現場…