2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧
●注文していた本が届いた。『ナンシー・ドルーと象牙のお守り』 C・キーン ヒラヤマ探偵文庫 ●今月の総括。買った本:十二冊読んだ本:十一冊 読書スケジュールの都合がつかず、今月は「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトが実施できなかった。
●『殺人は自策で』 R・スタウト 論創社 読了。 いつものスタウトで、キャラクターの活躍と会話の軽快な味を楽しむ。安心安定の面白さである。解決部分で示された盲点と、言葉に仕掛けられたちょっとした罠とが面白い。訳者あとがきによると、今後もオリジナ…
●『神変稲妻車』 横溝正史 八千代書院 読了。 某同人誌に向けた原稿のために、約六年ぶりに再読。今回はせっかくなので、以前買って積ん読だった単行本を手に取った。まずは前回読んだときの日記から、感想部分を再録しておく。 のっけからフルスピードの活…
●『飛鳥高探偵小説選VI』 論創社 読了。 収録作中のベストは「無口な車掌」であった。題名が効いているし、事件の真相も物語の結末もいい感じ。掌編と言っていい作品なので、余計な描写がなく切れ味の鋭さが際立つ。この作品は以前、光文社文庫の『江戸川…
●『寝室に鍵を』 R・ウィンザー カッパ・ノベルス 読了。 結末近くで「あのとき~だった」と持ち出される手がかりが、実際の「あのとき」には書かれていなかったり、決め手となるのが(伏字)だったり、ちと心細い。真相に至る流れにあまり感銘を受けなかっ…
●中断していた『ならず者の一生/幽霊ホテル』 W・コリンズ 臨川書店 を再開して読み終えた。 中編が二編収録されている。「ならず者の一生」は、ちゃらんぽらんで前向きで逞しいならず者の冒険人生を描くピカレスク。世間に対する皮肉な視線が面白い。この…
●『千両文七捕物帳 第三巻』 高木彬光 捕物出版 読了。 「荒寺の鬼」が収録作中のベスト。私としてはミステリ趣味が最も色濃い作品が、やはり最も面白い。「悪魔の牙」はホームズの某作品を下敷きにして発展させ、翻案の域を脱して独自の物語に仕立てている…
●臨川書店のコリンズ傑作選を半分まで。中編が二編収録されている中から一編だけ読んだ。古いタイプの小説の、のんびりしたテンポがどうもまどろっこしくてしんどくなったので、こいつは中断して明日から別の本を手に取ることにする。感想は通読してから。 ●…
●『ペンローズ失踪事件』 R・A・フリーマン 長崎出版 読了。 地味で堅実な展開は私好みだし、ロジックの面白さもある。ただ堅実なだけではなくて、終盤で(伏字)だなんて、ミステリらしい仕掛けもきっちり盛り込まれている。この意外性の演出は、切れ味が…
●『シャーロック・ホームズの対決』 長沼弘毅 文藝春秋 読了。 ホームズ物語には様々な矛盾がある。その記述をいかに解釈するかが、シャーロキアンにとって大きな楽しみのようで。私はシャーロキアンではないので、解釈はただひとつ。ドイルがあまり深く考え…
●『古墳殺人事件』 島田一男 扶桑社文庫 読了。 「古墳殺人事件」と「錦絵殺人事件」の二長編と、短編ひとつが収録されている。どちらの長編も、発表は今から七十年以上前である。馬鹿々々しさすれすれの殺人トリックと全編に散りばめられた衒学趣味とに、戦…
●『眠れる美女』 R・マクドナルド ハヤカワ文庫 読了。 安定のロスマク印。複数の家族が絡む複雑な事件が、いつもの読み応えである。脇筋と思っていた流れが突如メインのストーリーとなって立ち上がってくる捻りっぷりもお馴染み。それに伴って些細な脇役が…
●『腹話術師』 三橋一夫 出版芸術社 読了。 「ふしぎ小説集成」の第一巻である。描かれるのはささやかな日々の喜びと、人の世の辛さと哀しさ、そしてふとした瞬間に見えてしまう別世界の不気味さ。 現実と異界との境目は曖昧で、目に見えない兎や学識深い鼠…