累風庵閑日録

本と日常の徒然

2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

今月の総括

●この土日に、横溝正史に関係なくもないオフ会で山梨に行ってきた。先々週は北海道に行ったし、今月は尋常ではない濃密で充実した一カ月であった。 ●今読んでいる短編集が、つまらなくはないけれども疲れる。中断して明日から別の本を手に取るかもしれん。実…

『BRUTUS図書館 山田風太郎 風太郎千年史』 新保博久編 マガジンハウス

●『BRUTUS図書館 山田風太郎 風太郎千年史』 新保博久編 マガジンハウス 読了。 二十五年前の刊行である。当時、「妖異金瓶梅」シリーズのうち「銭鬼」が手軽に読めない状態だったので、それが目的で買ったのであった。ところが読まないうちに扶桑社文…

『列をなす棺』 E・クリスピン 論創社

●『列をなす棺』 E・クリスピン 論創社 読了。 若い女優が死亡した。一見して自殺であることは明白である。だが、彼女の住処を荒らした者がいることから、単なる自殺ではなくなにやら犯罪の臭いがする。やがて殺人が起き、割と早い段階で事件の枠組みと動機…

『三味線鯉登』 永瀬三吾 捕物出版

●『三味線鯉登』 永瀬三吾 捕物出版 読了。 主人公のシリーズ探偵役は、辰巳芸者の鯉登。「こいのぼり」ではなく「こいと」と読む。本名が小糸だそうで。侍が嫌いで岡っ引きが嫌い。でも、常廻り同心桐形月之進の家来魚介のことは妙にお気に入り。酒が好きで…

『松風の記憶』 戸板康二 創元推理文庫

●『松風の記憶』 戸板康二 創元推理文庫 読了。 「松風の記憶」 舞台や視点人物を様々に変えながら、長い年月に渡る人間関係の変化と深化とをじっくりとたどってゆく。歌舞伎や踊りの世界を舞台にしており、登場人物達は一般サラリーマンとは異なっているけ…

『狼の一族』 若島正編 早川書房

●某所で開催された某イベント(これじゃあ何がなんだか)に参加するため、月曜に有給休暇を取って土曜から二泊三日で北海道に行ってきた。詳細は、主催者殿が発行する同人誌に収録されるはずである。 ●『狼の一族』 若島正編 早川書房 読了。 異色作家短編集…

『バーニーよ銃をとれ』 T・ケンリック 角川文庫

●『バーニーよ銃をとれ』 T・ケンリック 角川文庫 読了。 主人公は平凡な小市民。インフレと不景気とで家計は火の車である。似たような境遇にある二人の仲間を語らって、ちょっとした詐欺を目論んだ。それが予想を超える展開となり、強大な敵から命を狙われ…

『そして医師も死す』 D・M・ディヴァイン 創元推理文庫

●『そして医師も死す』 D・M・ディヴァイン 創元推理文庫 読了。 人間誰しも、多かれ少なかれ負の要素を持っているだろう。すなわち、卑しさ、愚かさ、臆病さ、幼さ、軽率さ、だらしなさ。登場人物達はそれぞれに様々な負の要素を背負わされて、生々しく描…

『蜃気楼博士』 都筑道夫 本の雑誌社

●『蜃気楼博士』 都筑道夫 本の雑誌社 読了。 都筑道夫少年小説コレクションの第三巻である。表題作は中編一と短編二とで構成されるシリーズ。なかでも第一話「蜃気楼博士」が面白かった。不可能興味が横溢しているし、犯人設定はなるほどと思う。二十二年前…

『夢遊病者の姪』 E・S・ガードナー ハヤカワ文庫

●『夢遊病者の姪』 E・S・ガードナー ハヤカワ文庫 読了。 ペリイ・メイスンシリーズを読むのは数十年ぶり二冊目。前回がいつで何を読んだかは、とうに忘却の彼方である。法廷ものってのはなじみが薄いので、なかなかに新鮮であった。メイスンが駆使するロ…

『夜歩く』 横溝正史 角川文庫

●『夜歩く』 横溝正史 角川文庫 読了。 必要があって、二十年ぶりの再読である。メインの大ネタ以外ほとんど忘れていたのだが、こんなに面白かったか、と驚く。いろいろ書きたいことはあるけれども、なにしろデリケートな扱いが必要な作品だ。真相および中盤…

『霧と雪』 M・イネス 原書房

●『霧と雪』 M・イネス 原書房 読了。 中盤過ぎまでは、なんとも地味な作品である。まず、事件が地味である。被害者が銃で撃たれるが、死にはしない。つまり殺人事件ではなく傷害事件である。現場が不可解な状況になっていたりはしない。題名が示すように季…