2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧
●今月の総括。買った本:九冊読んだ本:十一冊 後半で失速したのはドイルがしんどかったからだ。
●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第三十四回として長編「ナイヂエル卿」を読んだ。いやはや、しんどかった。三百五十ページのこの作品に四日もかかってしまった。とにかくもう、会話が疲れてしまってしょうがない。なにかってえと名誉だ誓い…
●人形佐七の映画を観る。でもその前に、原作である「風流六歌仙」を先に読んで予習しておくことにする。春陽文庫なら第六巻『坊主斬り貞宗』に収録されている。内容をほとんど忘れていたのだが、これは意外なほどミステリ色の濃い秀作であった。江戸の芸能界…
●『トム・ブラウンの死体』 G・ミッチェル ポケミス 読了。 英国パブリック・スクールを舞台に展開される殺人物語が、ミステリの常道から微妙にずれたいつものミッチェル調で、楽しさ半分戸惑い半分である。会話のシーンで語られなかった情報が、あとになっ…
●『夜光珠の怪盗』 山田風太郎 論創社 読了。 「山田風太郎少年小説コレクション」の第一巻である。表題作「夜光珠の怪盗」は、宝石の首飾りを狙う怪盗というありがちなジュブナイルかと思いきや、某海外有名短編を流用しているのが興味深い。「軟骨人間」、…
●『ネロ・ウルフの災難 激怒編』 R・スタウト 論創社 読了。 毎度お馴染みの、軽快な味わいである。物語の展開と会話とキャラクターの面白さを愛でながらさくさく読んでいける。三編収録されている中で一番気に入ったのが「犯人、だれにしようかな」であっ…
●『ホックと13人の仲間たち』 E・D・ホック ポケミス 読了。 ホックが創造したシリーズキャラクター十三人が登場する作品を、一編ずつ収録した日本独自のアンソロジー。各主人公にそれぞれ個性はあるが、当然ながら味わいはみんなホックである。こういう…
●先日観た「人形佐七捕物帖 くらやみ坂の死美人」は、「蝙蝠屋敷」が原作だそうで。過去の自分の日記を眺めていて、そんな記述にでくわした。すっかり忘れていた。映画の記憶が新しいうちに、原作と照らし合わせてみることにする。春陽文庫では第九巻『女刺…
●『海のオベリスト』 C・D・キング 原書房 読了。 まず、ちょっと残念なポイントをふたつ。数が合わない弾丸だとか死因の扱いだとか、せっかく魅力的な死の謎を用意しておきながら、(伏字)なんていう真相はやや残念。心理学者連が提示する仮の真相がどう…
●昭和三十五年の東映映画「人形佐七捕物帖 くらやみ坂の死美人」を観る。若山富三郎が人形佐七、大泉滉が辰五郎という配役である。盛り場を牛耳っているごろつき集団蝙蝠組を相手に、佐七の法善流棒術がうなる! 要所要所でやけに長尺の立ち回りが挿入される…
●『黒いハンカチ』 小沼丹 創元推理文庫 読了。 A女学院の英語教師ニシ・アズマ先生が探偵役を務めるシリーズ短編集である。なにげない日常風景の中に誰も気付かないような違和感を見出すアズマ先生の観察眼と、そこから隠された裏の意味を読み取る洞察力と…
●『カリオストロ伯爵夫人』 M・ルブラン 創元推理文庫 読了。 百年以上昔から語り継がれてきた、隠された巨額の財宝。その宝を巡って複数の勢力が争奪戦を繰り広げる。ルパンは、カリオストロ伯爵夫人の危難を救ったことがきっかけで、宝探しに介入すること…
●『あの薔薇を見てよ』 E・ボウエン ミネルヴァ書房 読了。 副題は「ボウエン・ミステリー短編集」である。ミステリーと謳われてはいるが、形式としてはミステリもあれば怪奇小説もあり、普通の小説のような作品もある。だが、お気楽な娯楽小説ではない。な…
●『橘傳來記』 山田風太郎 出版芸術社 読了。 副題に「山田風太郎初期作品集」とある。若かりし頃の投稿作品集である。収録作の多くが雑誌「受験旬報」に掲載されており、当然のように受験を題材にしている。これがどうも、私自身の受験期の焦燥感、あるいは不安…
●『恐ろしく奇妙な夜』 J・T・ロジャーズ 国書刊行会 読了。 「赤い右手」の作者だからもっと尖がった作風かと思っていたら、意外にもオーソドックスな佳編ばかりで、秀逸な作品集であった。捻りの利いた好短編、クリスティーが書いてもおかしくないような…