累風庵閑日録

本と日常の徒然

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

わずか三冊

●今月の総括。買った本:十二冊読んだ本:十冊 買った十二冊のうち、リアル書店を介したのはわずか三冊である。他の九冊はネット書店で買ったり出版社直販だったりで、なんとまあ、世の中便利になったものだと思う。

『憑りつかれた老婦人』 M・R・ラインハート 論創社

●『憑りつかれた老婦人』 M・R・ラインハート 論創社 読了。 どこからともなく部屋に侵入する蝙蝠や鼠、ひとりでに開くクローゼットの扉、いきなり鳴り出すシャンデリア、なんて道具立てにもかかわらず、怪奇色は薄い。一族内のごたごたの方が前面に出てい…

地獄横丁

●東京創元社の『泡坂妻夫引退公演』を半分まで、「第一幕 絡繰」を読んで中断。感想は第二幕も読んでから。 ●お願いしていた本が届いた。 『地獄横丁』 香住春吾 盛林堂ミステリアス文庫 『ハルピンお龍行状記 姿なき脅迫者』 城崎龍子 東都我刊我書房 ●税務…

『北町一郎探偵小説選I』 論創社

●『北町一郎探偵小説選I』 論創社 読了。 メインの長編「白日夢」は、なんと八十年ぶりの刊行だそうで。まずは読めるということにひとつの価値がある。それはそれとして、肝心なのは作品の出来栄えだ。 物語の起伏で読ませるスリラー。中盤以降の加速感が凄…

『仮名手本殺人事件』 稲羽白菟 原書房

●『仮名手本殺人事件』 稲羽白菟 原書房 読了。 一冊の本をどう読むかは、ある意味で読者の勝手である。どんな読み方をしてもいいのだ。その読み方が多く共感を得られるかどうかは別の問題だけれども。本書の真相にも事件の結末にも、横溝的なものを色濃く感…

『49歳、秘湯ひとり旅』 松本英子 朝日新聞出版

●『49歳、秘湯ひとり旅』 松本英子 朝日新聞出版 を、昨日のうちにさっと読んでしまった。コミックエッセイというやつで、あっという間に読める。それについて今日は書く。 題名の通り、著者が四十九歳から五十歳にかけての温泉旅行記である。温泉に独り浸…

『夜の冒險/孔雀の樹』 ドウゼ/チエスタートン 平凡社

●『夜の冒險/孔雀の樹』 ドウゼ/チエスタートン 平凡社 読了。 昭和六年に刊行された、世界探偵小説全集の第八巻である。 ◆ドウゼ「夜の冒險」は、予想外の佳作であった。主人公ゲルハルトは、世間の嫌われ者の従兄レットマンを自らも激しく憎み、殺してや…

『少女ミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『少女ミステリー倶楽部』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。 悪く言えば湿っぽい、穏便に表現するなら叙情味の勝った作品は、私の好みではない。そういった作品が多くて、残念ながら打率は高くない。有馬頼義「白い道の少女」は、親を間違った幼児…

『ポンコツ競走馬の秘密』 F・グルーバー 論創社

●『ポンコツ競走馬の秘密』 F・グルーバー 論創社 読了。 係累のいない富豪の遺産を、彼が所有していた競走馬が相続し、ジョニーがその後見人に指名された。ところが富豪の姪だの弟だのと称する人々が現れて…… 驚くほどの傑作だとは思わないが、安定の快作…

『七十五羽の烏』 都筑道夫 光文社文庫

●『七十五羽の烏』 都筑道夫 光文社文庫 読了。 都筑道夫コレクションの本格推理篇である。初収録のなめくじ長屋シリーズ二編は以前先行して読んでいるし、他の収録作は全て別の本で読んでいる。結局今回は収録の全作品が再読ということになる。 メインの長…

取り憑かれた本屋

●お願いしていた本が届いた。 『取り憑かれた本屋』 C・モーリー アメリカの古典的探偵小説なんだそうな。ところでこれは私家版ということになるのだろうか。

『サンキュー、ジーヴス』 P・G・ウッドハウス 国書刊行会

●『サンキュー、ジーヴス』 P・G・ウッドハウス 国書刊行会 読了。 主人公バーティーの身の上に、トラブルそしてまたトラブル、一難去ってまた"八"難が降りかかる。偉大なるジーヴスはそれらの難問を軽やかに、また鮮やかに処理してゆく。 構成の緊密さが…

『新羽精之探偵小説選II』 論創社

●『新羽精之探偵小説選II』 論創社 読了。 捻りとオチがあって、私の好み直撃。極めて打率の高い、充実した短編集であった。「ボンベイ土産」は題材に工夫有り、というより、何が題材なのかこそが眼目。「ロマンス航路」は、途中のエピソードもオチも好ま…

「横溝正史が手がけた翻訳を読む」二十一回

●第二十一回「横溝正史が手がけた翻訳を読む」プロジェクトとして、博文館から昭和十五年に出た『風雲ゼンダ城』の第二部、「驕児ルパート」を読む。 物語の根幹は実に単純。女王陛下がうかつにも書いた、主人公ルドルフに宛てた恋文。それを横取りして国家…

『岡田鯱彦探偵小説選I』 論創社

●『岡田鯱彦探偵小説選I』 論創社 読了。 全体の半分近くを占める鯱先生のシリーズが楽しい。和製ルパンを標榜しているそうで。怪盗と探偵とを兼ねた陽性の主人公は、なるほどルパンである。彼とその乾分山猫との掛け合いが、銭形平次と八五郎のような愉快…

人形佐七捕物帳

●本を買ったり届いたり。 ●書店に寄って本を買う。 『仮名手本殺人事件』 稲羽白菟 原書房 『大忙しの蜜月旅行』 D・セイヤーズ 創元推理文庫 ●春陽堂書店さんから本が届いた。 『完本 人形佐七捕物帳 二』 横溝正史 春陽堂書店 ●論創社さんから本が届いた…