累風庵閑日録

本と日常の徒然

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

孔雀屋敷

●今、三冊の作品集を並行してつまみ食いしている。どれも来月には読了できるだろう。 ●書店に寄って本を買う。『孔雀屋敷』 E・フィルポッツ 創元推理文庫『シャーロック・ホームズとサセックスの海魔』 J・ラヴグローヴ ハヤカワ文庫 ●注文していた本が届…

『密室への招待』 E・D・ホック ポケミス

●『密室への招待』 E・D・ホック ポケミス 読了。 収録作中のベストは「壁を通り抜けたスパイ」。伏線の密度が高いし、その内容も上出来。ホーソーンシリーズの「水車小屋の謎」は、(伏字)した理由が秀逸。 事件の謎が魅力的なのは、冒頭の「不可能な”不…

『振袖小姓捕物控 第一巻 黄金の猿鍔』 島本春雄 捕物出版

●『振袖小姓捕物控 第一巻 黄金の猿鍔』 島本春雄 捕物出版 読了。 ミステリの一ジャンルとしての捕物帳のつもりで読み始めたら、盛大にずっこけた。主人公が事件に取り組んで解決する形式にはなっているものの、これってハチャメチャな伝奇短編シリーズなの…

「銀のたばこケースの謎」

●昨日から読み始めた時代小説短編集が、あまりに濃くて胸焼けする。そっちを中断して、作品社の『都筑道夫創訳ミステリ集成』から「銀のたばこケースの謎」を読んだ。感想は通読してから。年内には読む予定。

『未来が落とす影』 D・ボワーズ 論創社

●『未来が落とす影』 D・ボワーズ 論創社 読了。 この犯人設定は、いい。これはいい。この真相を成立させるためには、なかなかにデリケートな書き方が必要である。記憶が新しいうちに再読したら、そこら辺の機微が分かって面白さも一入であろう。横溝正史の…

『フランケンシュタイン』 高木彬光 偕成社

●『フランケンシュタイン』 高木彬光 偕成社 読了。 「少年少女世界の名作」の第十二巻で、原作/シェリーとしてある。冒頭の「この物語について」によれば、高木彬光が内容を多少はぶいたりおぎなったりしているという。原典と比較してみたいが、昔読んだ創…

『完全犯罪大百科(下)』 E・クイーン編 創元推理文庫

●『完全犯罪大百科(下)』 E・クイーン編 創元推理文庫 読了。 展開にメリハリがあって、意外性や捻りが仕込まれている作品が好みである。そういう意味で気に入った作品はトマス・マクモロー「ケリハー事件」、T・S・ストリブリング「海外電報」ってなと…

『チューダー女王の事件』 C・ブッシュ 創元推理文庫

●『チューダー女王の事件』 C・ブッシュ 創元推理文庫 読了。 ずいぶん素直な作品であった。(伏字)たことから、犯人はみえみえである。こうなると物語の興味は、犯人の意外性ではなく犯行計画の工夫と真相に至る伏線やロジックとになる。 警察の地道な捜…

『謎のクィン氏』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『謎のクィン氏』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。 再読である。記憶も定かではないたぶん四十年近く昔に読んで、当時はどうということもなかった。ところが今回読んでみて驚いた。なんと面白いではないか。初読当時はまだ幼くて、この味を受け入…

『叫びの穴』 A・J・リース 論創社

●『叫びの穴』 A・J・リース 論創社 読了。 なんとも地味で重厚な描写が続き、読み進めるのにちょいと覚悟が要る作品である。その読み味はクロフツの地味さではなく、P・D・ジェイムズの重厚さである。ノーフォークの北海沿岸に位置して、強風が吹き荒れ…

『手掛かりはここにあり』 D・ホイートリー 中央公論社

●『手掛かりはここにあり』 D・ホイートリー 中央公論社 読了。 ミステリ小説というよりは、ミステリクイズと言っていい。全体は六十ページだが、後半は関係者の写真に付随する人物調査報告なので、実質的な本文は三十ページもない。しかも状況は極めて単純…

『江戸川乱歩『悪霊』<完結版>』 今井K 文芸社

●『江戸川乱歩『悪霊』<完結版>』 今井K 文芸社 読了。 表題作は、乱歩が昭和八年に連載を始めて後に中絶した作品を書き継いで完成させたもの。小説としてではなく論文のようなスタイルを採った方が良かったんじゃなかろうか。あるいは、どうしても小説形…

『三本の緑の小壜』 D・M・ディヴァイン 創元推理文庫

●『三本の緑の小壜』 D・M・ディヴァイン 創元推理文庫 読了。 登場人物が活き活きと描かれており、その面白さでぐいぐい読める。マンディの造形と人間関係の展開とがあまりにもありがちだけれども、それも分かりやすさに通じて停滞することなく頭に入って…