累風庵閑日録

本と日常の徒然

2018-01-01から1年間の記事一覧

年内最後

●年内最後の更新である。 ●今年一年、皆様にはお世話になりました。ありがとうございます。来年もまた、よろしくお願いいたします。 ======================== ●今年の総括 ◆全体的に平穏で、時間にも気持ちにもゆとりのある一年で…

「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」第七回

●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第七回をやる。 ◆「モダン吸血鬼」 W・L・アルデン(昭和五年『モダン日本』) 大変な売れっ子作家で、雑誌の編集長で、鋭い批評家でもあるジョージ・マシウス。ある日彼の元へ、女流作家が訪ねてきた…

『ピーター卿の事件簿II/顔のない男』 D・L・セイヤーズ 創元推理文庫

●『ピーター卿の事件簿II/顔のない男』 D・L・セイヤーズ 創元推理文庫 読了。 表題作「顔のない男」は、列車の中の会話だけから推理を進める冒頭部分が私の好み直撃で、大変に面白い。結末は(伏字)という点が引っ掛かって、ちと座りが悪いけれども。…

塔上の奇術師

●光文社文庫の江戸川乱歩全集『ふしぎな人』を細切れで読む。今回は「塔上の奇術師」である。内容は相変わらずで、全体については特にコメント無し。一応はコウモリ男という怪人が登場するが、ごく早い段階で四十面相の正体を現す。その点はちょっと新鮮であ…

『横溝正史探偵小説選II』 論創社

●『横溝正史探偵小説選II』 論創社 読了。 収録作はジュブナイルばかりだし、しかもページが足らなかったのか駆け足で終わらせたような作品が多いしで、内容としてはちと心細い。だが、ともかくも読める、ということが大事なのである。 以下、いくつかコメ…

夜光虫

●土曜から読み始めた、論創社の横溝正史を中断する。ジュブナイルが続くと、さすがにしんどい。で、今日から読み始めた本をそのまま通読するか、それとも明日は横溝に戻るか、それは今後の気まぐれ次第。 ●電車に乗って街に出て、書店に行って本を買う。 『…

黒星團の秘密

●午前中は野暮用。 ●お願いしていた本が届いた。 『黒星團の秘密』 大下宇陀児 湘南探偵倶楽部 近いうちにもうあと三冊、ややマニアックな冊子が届くはずである。

『ナツメグの味』 J・コリア 河出書房新社

●『ナツメグの味』 J・コリア 河出書房新社 読了。 面白い。それは間違いない。だが、この曰く言い難い味わいはなんとしたことか。作品毎に様々な要素が様々な配分でもって詰め込まれている。その要素とは、捻りと切れ味、不気味と残酷さ、皮肉とユーモア、…

『精神病院の殺人』 J・ラティマー 論創社

●『精神病院の殺人』 J・ラティマー 論創社 読了。 主人公の探偵ウィリアム・クレインの造形が魅力的。減らず口をたたき、肉弾戦も厭わず、酒にだらしない。それでいてただの筋肉馬鹿ではない。独自の活動で状況をひっかきまわし、関係者や警察を翻弄し、そ…

夜光人間

●光文社文庫の江戸川乱歩全集『ふしぎな人』を細切れで読んでいる。今日読むのは「夜光人間」である。内容は相変わらずで、全体としては特にコメントはなし。だが最初の、杉本邸盗難事件の真相はあまりにも人を喰っていて、ちょっと感心した。

『シャーロック・ホームズに愛をこめて』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●この土日で、ちょいと一泊ででかけてきた。かつての飲み仲間と再会して、日帰り温泉でひとっ風呂浴びた後飲んだくれる。 ●遠征のお供として持って行った、『シャーロック・ホームズに愛をこめて』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 を読了。 本の感想は、…

ドイル傑作集

●書店に寄って本を買う。 『ドイル傑作集I ミステリー編』 C・ドイル 新潮文庫 『ドイル傑作集II 海洋奇談編』 C・ドイル 新潮文庫 『ドイル傑作集III 恐怖編』 C・ドイル 新潮文庫 『新・餓狼伝 巻ノ四』 夢枕獏 双葉社 ツイッターのとある投稿を…

『四つの福音書の物語』 F・W・クロフツ 論創社

●『四つの福音書の物語』 F・W・クロフツ 論創社 読了。 翻訳ミステリを読み始めて四十年近く。それらの本にはキリスト教関連の単語が当然のように出てくるので、目についてはいた。だが、体系的な知識となると全くのゼロである。福音書がどういうものか知…

『酒井嘉七探偵小説選』 論創社

●『酒井嘉七探偵小説選』 論創社 読了。 題材のバリエーションに乏しいのがちと残念だけれども、全体としては面白く読めた。戦前派には珍しく、ロジカルな興味を重視した作風が好みに合っている。 「ながうた勧進帳」と「京鹿子娘道成寺」とが、収録作中の双…

四つの福音書の物語

●電車に乗って東京に出る。まずは書店に寄って本を買う。 『精神病院の殺人』 J・ラティマー 論創社 『四つの福音書の物語』 F・W・クロフツ 論創社 すでにあちこちで言われていることだけれども、宗教書をミステリのレーベルで出すってのは、論創社もな…

成城大学公開シンポジウム

●成城大学で、「成城を住まう 都市、住宅、近代」と題する公開シンポジウムを聴講してきた。目的は、テーマのひとつ「探偵小説のトポロジー 横溝正史と成城のまち」である。成城の街と正史の創作との関連を論ずる内容だが、詳細は省略。時間配分が三十分しか…

『この湖にボート禁止』 G・トゥリーズ 福武文庫

●『この湖にボート禁止』 G・トゥリーズ 福武文庫 読了。 相続した湖畔の家に引っ越してきた、主人公の少年と妹と母親の三人家族。受け継いだ品に含まれていたボートを湖に漕ぎ出したところ、後になって近所の地主に怒鳴り込まれた。湖にボートを浮かべるの…

『森下雨村探偵小説選』 論創社

●『森下雨村探偵小説選』 論創社 読了。 短めの長編二編と評論・随筆という構成である。 「呪の仮面」 犯罪組織との闘争を描くスリラー。どこかで読んだようなエピソードの連続で、こいつはちと厳しい。 「丹那殺人事件」 一歩一歩着実に捜査を進める様子を…

『二輪馬車の秘密』 F・ヒューム 新潮文庫

●『二輪馬車の秘密』 F・ヒューム 新潮文庫 読了。 なにしろ十九世紀の小説である。大甘で冗長なメロドラマが延々続くものと覚悟して読み始めたのだが、全然そんなことはなかった。予想外に面白い。 舞台はオーストラリア、メルボルン。二輪馬車内で発生し…

半分までで中断

●論創ミステリ叢書を半分まで読む。ちょっとしんどくなったので、中断して明日からは別の本を手に取ることにする。 ●またひとつ歳をとってしまった……

死美人

●書店に寄って本を買う。 『死美人』 黒岩涙香 河出書房新社 『木乃伊屋敷の秘密』 山本周五郎 新潮文庫 黒岩涙香は、長いこと欠落したままになっていた部分の補填が嬉しい。これでいつでも、旺文社文庫の『死美人』を読める。山本周五郎は、「湖底の秘密」…

『十三の謎と十三人の被告』 G・シムノン 論創社

●『十三の謎と十三人の被告』 G・シムノン 論創社 読了。 各編が十ページほどであまりに短く、あまりにあっけない。違和感を覚える記述があっても、追加の情報や説明がないまま終わってしまう。そういう作品にいくつか出くわすと、消化不良になって気持ちが…

真珠郎

●書店に寄って本を買う。 『真珠郎』 横溝正史 柏書房 『魔術』 芥川龍之介 彩流社 『小説幻冬 12月号』 幻冬舎由利・三津木探偵小説集成全四巻が、いよいよ刊行開始である。素晴らしい。『小説幻冬』は、小松亜由美さんの短編第四作が掲載されている。 ●…

「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」第六回

●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第六回をやる。 ◆「サムの真心」 J・マッカレー(昭和三年『新青年』) 地下鉄サムは大道演説に心を打たれ、真心を発揮する機会を探し始めた。そんな折、サムの縄張りである地下鉄で、何物かが不埒にも…

『探偵小説の風景 トラフィック・コレクション(下)』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●西日本旅行に持って行ってちょっと読み残した、『探偵小説の風景 トラフィック・コレクション(下)』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 を読了。 夢野久作「空を飛ぶパラソル」 時代が時代ならハードボイルドの枠に入れられそうな、事件の謎に挑む新聞記…

濃い週末

●三連休を利用して、西日本に旅行に行ってきた。旅行帰りで疲れているので、今日の日記は簡単に書くだけにしておく。 ●初日金曜から土曜早朝にかけては、山口県南西部をちょっとうろうろ。山口での目的を達して後、新山口から新幹線に乗って岡山へ。土曜の昼…

『横溝正史探偵小説選I』 論創社

●『横溝正史探偵小説選I』 論創社 を、ようやく読んだ。 横溝正史は依怙贔屓しているので、内容を問わず収録作品全部オッケーである。本書の刊行までは単行本未収録だったレア作品の数々が、こうやって本の形になって読めるのだ。それだけでもう、素晴らし…

活発な活動

●お願いしていた冊子が届いた。 『ROM No.s-002』 『Re-ClaM Vol.1』 独自の活動がいろいろ活発で、素晴らしいことである。 ●某所から私家版刊行のお知らせをいただく。独自の活動がいろいろ活発で、素晴らしいことである。 ●そして今度の文フリで…

『名探偵ルパン』 M・ルブラン 論創社

●『名探偵ルパン』 M・ルブラン 論創社 読了。 訳者保篠龍緒が、ルブランの非ルパン作品を勝手にルパンものに仕立てたという、あまりと言えばあまりに自由すぎる作品集。訳者/創作者の姿勢の是非はともかく、こんな珍品を読めるということが、本書のまず第…

『ウォンドルズ・パーヴァの謎』 G・ミッチェル 河出書房新社

●朝から病院。三ヶ月に一度の定期通院である。といっても、薬の処方を出してもらって次回の日取りを決めるだけなので、お医者殿との会話は一分ほどで終わる。 ●『ウォンドルズ・パーヴァの謎』 G・ミッチェル 河出書房新社 読了。 その物語は、緩急自在。肉…