序盤は、静かな展開にちょいちょい不気味なくすぐりが散りばめられる、いかにも怪奇小説めいた味わい。これが嬉しい。やがて、作者が用意した物語世界の基本設定が言葉で説明されると、ふんふんなるほどそういうことね、と理に落ちる。ここでいったん気持ちが冷静になる。ゲームのルールブックを読むようなものである。そこから先は、基本設定に則って物語がフルスピードで突っ走るようになり、いやはや快調快調。これも嬉しい。最近のCG沢山のホラー映画を観ているみたいだ。実際に読むまでは、もっとこう、ねっとりじっとりとした陰湿な作品かと思っていた。