少年小説コレクションの第二巻である。他愛ないと感じてしまう作品が多いが、それも無理はない。いい歳こいたオヤジは想定読者ではないだろう。出来栄えの判断は中学生から高校生の読者にお任せする。私にとっての本書の意義は、そもそも読めるってことである。
「血をすうへや」は、盛り込まれた仕掛けにちょっと感心した。「鬼がきた夜」は結末で少々ずっこけたけれども、密室殺人だったり足跡のない雪の原っぱに凶器が落ちていたりと、趣向沢山なのがちょっとしたもの。「鬼の顔」は、隠し場所を巡る推理にロジックの妙味がある。「五ひきと二羽が消えた!」は、事件の謎が魅力的。典型好きとしては、よくある(伏字)ネタが使われている点も嬉しい。他にも、「竜神の池」と「帰ってきた幽霊」といったところは冒頭の謎が魅力的。