●『ミステリ講座の殺人』 Ｃ・ナイト 原書房 読了。
お行儀のいいミステリ。怪奇味もなし不可能犯罪もなし。人物造形は全体的に大人しく、奇矯な人物の言動でもってページをめくらせるでもなし。それでもつまらなくはないのだ。複数の事件がいいテンポで発生して、物語はけっして平板ではない。巻末に手掛かり索引があることが、冒頭で表明されている。これだけでもう、本格ミステリを書いてやろうという作者の意気込みと稚気とを感じて、嬉しくなる。結末に期待したくなる。
心細い点があることはある。途中で（伏字）させる手法は私の好みではない。結末の展開は期待していたほどロジックの精緻さが感じられなかった。それはそれとして、途中で関係者が事件についていろいろディスカッションするのが楽しい。結末で判明する、ドラが鳴らされた理由にもちょっと感心した。また、手掛かり索引なんて趣向は導入されていること自体が面白味である。この点だけでも、好感が持てる。
●書店に出かけて雑誌を買う。
『建築知識 ５月号』 株式会社エクスナレッジ
