●『道化の町』 J・パウエル 河出書房新社 読了。
なんとも不思議な短編集であった。プードルは人間と会話し、オランウータンは王として君臨する。金の卵を産む鶏はガラスの塔から盗まれ、道化師はパイで殺される。
いろんなタイプの作品が収録されているので、単純にベストを挙げることはできない。捻りの面白さなら「最近のニュース」、グロテスクな味わいなら「時間の鍵穴」、謎解きミステリとしてなら「アルトドルフ症候群」、といったところ。
他にも、意外な題材を私立探偵小説に仕立てた「死の不寝番」、奇天烈な設定と奇天烈な展開とが突き抜けてしまったメイナード・ブロックシリーズの二編「愚か者のバス」、「折り紙のヘラジカ」などが秀作。