累風庵閑日録

本と日常の徒然

『廃墟の歌声』 G・カーシュ 晶文社

●『廃墟の歌声』 G・カーシュ 晶文社 読了。

 収録作の中では、ストーリーがしっかりしている作品が楽しめた。表題作や「一匙の偶然」辺りが秀逸。「魚のお告げ」は、ラヴクラフト作品にちょいちょいある、古代遺跡に潜っていくシーンの面白さを思い出す。最優秀賞は「ミス・トリヴァーのおもてなし」に差し上げたい。ある瞬間、突然に見えてくる情景のおぞましさ。別格として、カームジンシリーズの四編はどれも楽しめた。角川書店から出ているカームジン本も、どこかのタイミングで読まないといけない。