累風庵閑日録

本と日常の徒然

『江戸川乱歩に愛をこめて』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『江戸川乱歩に愛をこめて』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。

「無闇坂」森真沙子
こういうタイプの作品は、久しぶりに読むというそれだけで新鮮。

「悪魔のトリル」高橋克彦
落ち着いた語り口でつづられる恐怖の回想譚。ひねりもオチも上手く効いている。

「怪人明智文代」大槻ケンヂ
明智小五郎と二十面相と、それぞれの造形がいい感じ。善に生きることを決意した者の哀しさと悲壮さ。悪の組織の大ボスがふと見せる自信のなさと弱さ。

「東京鐵道ホテル24号室」 辻真先
回想の中でさらに、決定的に失われた過去を振り返る某人物の想いが胸に迫る。