累風庵閑日録

本と日常の徒然

「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」第九回

●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第九回として、先月から取り掛かったマッカレー『地下鉄サム』の続き。今日は六編読んだ。

「サムの恐怖」
 財布と思ってサムが掏ったのは、恐ろしい病原菌の培養器だった。

「サムの愛国者
 博識で嫌味な「教授」が建国の父ワシントンを貶すのを聞いて、サムは激怒した。

「サムのクロスワード
 隣に座った男につられて新聞のクロスワードに夢中になったサム。しかしその裏には。

「サムの御奉公」
 大切な稼ぎ場である地下鉄で、何やら企んでいる悪党達を見かけたサム。

「サムの手術」
 体調を崩して手術を受けたサムに、とんでもない運命が襲い掛かる。これは酷い禁じ手。

 一番面白かったのが「サムの正直」であった。題名が効いているし、最後のオチ一点勝負の展開も上々。