累風庵閑日録

本と日常の徒然

『都市の迷宮』 鮎川哲也/島田荘司編 立風書房

●『都市の迷宮』 鮎川哲也島田荘司編 立風書房 読了。

「ミステリーの愉しみ」の第四巻である。実にどうも粒揃いの、上出来なアンソロジーであった。以下、いくつか気に入った作品にコメントを付けておく。

 気の利いたダイイング・メッセージと着地点の捻りに妙を得た山村直樹「わが師、彼の京」、事件にも物語にも奥行きのある千葉淳平「或る老後」、盲点をついたシンプルな真相が魅力の島久平「街の殺人事件」、提示された謎がダイナミックな大谷羊太郎「消された死体」、といったところ。

 天藤真「隠すよりなお顕れる」は、用いられたメインのアイデアにちょいと感心。そしてこの作品は、複数作家が共用の名探偵を新規に作って持ち回りで作品を書いたアンソロジー名探偵登場』に収録されているという。たまたまこの本は手元にあるので、来年にでも通読してみたい。

●注文していた本が届いた。
シャーロック・ホームズ ジュニア翻案集』 北原尚彦編 盛林堂ミステリアス文庫
『獣の遠吠えの謎』 N・ヴァンドリ エニグマティカ叢書