累風庵閑日録

本と日常の徒然

『ペトロフ事件』 鮎川哲也 講談社大衆文学館

●『ペトロフ事件』 鮎川哲也 講談社大衆文学館 読了。

 読んだタイミングがちょうどよかったと思える本が時折ある。本書もその一例で、鮎川哲也の長編をほとんど読んでだいたいの味わいを知ったつもりになっていた今だからこそ、この着地点は意外だった。また、関係する伏線が(伏字)に出ていることもなかなかに感心する。

 巻末解説によれば、この真相は後期のバージョンで追加されたように読める。前期バージョンを確認するには雑誌「宝石」のコピーを図書館から取り寄せればいいので、さほど困難ではないだろう。困難ではないが手間はかかる、そこまでする気はないので、どなたか鮎川マニアのお方、よかったら違いを教えてください。

 作品の質とは関係ないが、大連の鉄道や港の描写は、個人的な記憶を呼び覚ます触媒となる。今はもう三十年以上昔、国鉄からJRに移行する前後くらいの時期に、私が(以下、自分語りが続くのでばっさり省略)。当時のあれこれを思い出して胸に響くものがある。

●注文していた本が届いた。
『空気男爵』 渡辺啓助 皆進社

●注文してい本をコンビニで受け取ってきた。
『振袖小姓捕物控 第四巻』 島本晴雄 捕物出版