累風庵閑日録

本と日常の徒然

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第十回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第十回として、第二巻を読み進める。今回読むのは、「シヤアロツク・ホウムズの事件録」の後半六編である。

「這ふ男」は、物語をあそこで終わらせずにもっと発展させたらストレートな(伏字)ホラーになるだろう。映画にするなら、昔だったら特殊メイクを駆使して、今ならCG沢山で。

「獅子の鬣」はドイルの某怪奇小説と同じ性質の題材なので、ミステリよりもそっちのジャンルに親和性がありそう。

「覆面の下宿人」はホームズシリーズの形式をとっているが、内容はホームズがいなくても成立しそうな綺譚。個人的に最も注目したのがこの作品である。

 ここで使われているネタに似たものが、横溝正史の某長編でも使われている。直接の発想元かどうかは定かでないけれども。さらに、由利先生ものやそれを改稿した人形佐七ものでも類似のネタが使われている。いつか折りがあったらその辺の作品を再読してみたい。