累風庵閑日録

本と日常の徒然

『刑事コロンボ 13の事件簿』 W・リンク 論創社

●『刑事コロンボ 13の事件簿』 W・リンク 論創社 読了。

 巻末の訳者あとがきでちょいちょい突っ込まれているように、かなりおおらかな書きっぷりである。したがって、細かな整合性に気を配らずに気楽に読める。また、倒叙タイプの作品が多いので、細かな伏線に気を配らずに気楽に読める。だが、あんまりテキトーに読んでいると、仕掛けられた伏線を読み落とすことになる。「緋色の判決」の趣向には全く気付かず、訳者あとがきで教えられてちょっと感心した。

 先行する映像作品があってこその、軽快な読み味である。読みながらずっとTVシリーズの、ピーター・フォーク小池朝雄の声で喋っている映像を思い浮かべていた。当然だが、「あの面白さ」を彷彿とさせるいかにもそれらしい内容である。以前買った全二十二巻のDVDボックスを、途中まで観て放置してある。久しぶりにそいつの続きを観たくなった。