累風庵閑日録

本と日常の徒然

『怪談部屋』 山田風太郎 光文社文庫

●『怪談部屋』 山田風太郎 光文社文庫 読了。

 山田風太郎ミステリー傑作選第八巻である。怪奇篇というくくりで、ホラー・SF色の強い作品を収めたそうな。テーマ別短編集の宿命だが、似たような発想の作品が続くと、また(伏字)ネタかよ、と思ってしまう。それはそれとして個別の収録作の多くは、濃くて、グロテスクで、凄まじい。「うんこ殺人」は題名も内容も突出して強烈。山上たつひこの「喜劇新思想体系」を連想した。「びっこの七面鳥」は極めて有名な海外ネタを中心にして、短いページに多くの趣向を盛り込んだ高密度の快作。「ぽっくりを買う話」の極限までシンプルな小ネタにはちょっと感心した。

 巻末解題にある、存在がわかっていながらテキストが入手できなかった四作品は、後に論創社の「山田風太郎少年小説コレクション」にすべて収録されたようで。まずは祝着至極。ミステリー傑作選を読破したら、こっちも読まなきゃ、と思う。

●ようやく某同人誌向けの原稿を書いて、主催者殿に送った。