累風庵閑日録

本と日常の徒然

『名探偵シャーロック・ホームズボン2 ゆうれい屋敷のひみつ』 三田村信行 PHP研究所

●『名探偵シャーロック・ホームズボン2 ゆうれい屋敷のひみつ』 三田村信行 PHP研究所 読了。

 頭が小説疲れを起こしてしまった。大阪圭吉のしんどいしんどい時局小説、文字がみっしり詰まった押川春浪の明治冒険小説、そして戦前の翻訳本と続けて読んだのがよくなかったらしい。しっかりとした本を手に取る気にならない。そこでリハビリとして、ごくごく軽い本をさっと読むことにした。使われている活字は巨大だし、分量はわずか百ページしかない。

 かつてシャーロック・ホームズが履いていたズボンが、主人公の名探偵となっている。この駄洒落設定を考え付いただけでもう、作者の「勝ち」である。内容は、脱獄囚の捜索、愛犬誘拐事件、そして長期の入院から戻ったら家が無頼漢に乗っ取られていたという怪事件の三つが並行して語られる。なかなかにぎやかなもので。

 そして意外にも、ミステリとしての構成がそれなりに整っているのである。きっちり伏線まで仕込まれてあるのにはちょっと感心した。対象年齢が小学二年~四年だというから、全体はごく他愛ないものではあるけれど。