●『ドイル傑作選II』 翔泳社 読了。
収録作中のベストは「大空の恐怖」であった。地球のはるか上空に未知の浮遊生物が棲んでいるという発想が気に入った。その昔まだラヴクラフトを喜んで読んでいた頃のときめきを思い出す。次点は「競売ナンバー二四九」。展開に目覚ましい捻りがあるわけではないが、そんな定型だからこその面白味がある。足音や声といった音の描写で読み手の想像をかき立てながら、じわじわと物語を盛り上げてゆく。
他に気に入った作品を挙げておくと、「地球の悲鳴」はなんと地球が(伏字)というホラ咄。「分解機」もSFに分類されているが、まあホラ咄だろう。
三部構成の第三部、「神秘の物語」に収録されている五編はどれも面白かった。特に「火あそび」で出現する物の意外さは呆れる。褒めているのだ。