累風庵閑日録

本と日常の徒然

『リュパンの冒険』 M・ルブラン 創元推理文庫

●『リュパンの冒険』 M・ルブラン 創元推理文庫 読了。

 リュパンシリーズはあまり読んでいないのだが、そんな状態でイメージするいかにもシリーズらしい味わいである。実際、巻末解説にも「リュパン物語の特色をすべて盛り合わせた観」とある。この小説は戯曲のノベライズだそうで。だからこそ、単独で観客に世界観を伝える必要があったのかもしれない。

 クライマックスでの、ゲルシャール刑事部長とリュパンとの心理闘争がちょっとしたサスペンスがあって読ませる。終盤のメロドラマパートがちとまどろっこしいが、それは私の好みの問題で作品の質の話ではない。典型好きの私としては楽しめた一冊であった。

 原作である戯曲版は、七年前に論創社の『戯曲アルセーヌ・ルパン』で読んだ。ほとんど忘れているのはいつものことで、ぼんやりと面白かった記憶だけが残っている。

●注文していた冊子が届いた。
『矮小人殺人事件』 L・ブルース 湘南探偵倶楽部
土耳古石のボタン』 B・オルツィ 湘南探偵倶楽部
『斧とモルフィネ』 大下宇陀児 湘南探偵倶楽部