累風庵閑日録

本と日常の徒然

『夜鳥』 M・ルヴェル 創元推理文庫

●『夜鳥』 M・ルヴェル 創元推理文庫 読了。

 ルヴェルを読むのは初めてである。残酷だとか恐怖だとかという評をちょいちょい見かけていたのだが、なるほどこういう味か。個別の作品に対するコメントは省略するが、全体私の好みに合っていた。最後にひと捻りする作品もあるし、皮肉で切れ味鋭いオチもあるしで、面白い面白い。それどころか、冗長な描写もまどろっこしい会話もない短い作品ばかりでいぐい読める。

 これはいいものを読んだ。今月中に白水社から出るというルヴェルも楽しみである。ただ、貧困と孤独と失恋と殺人と姦通と、ってなテーマをまるまる一冊続けて読むと、ちと満腹気味だけれども。