累風庵閑日録

本と日常の徒然

『晩酌の誕生』 飯野亮一 ちくま学芸文庫

●『晩酌の誕生』 飯野亮一 ちくま学芸文庫 読了。

 元々酒は、神人交歓の場で大勢が集まって飲むものであった。時代が下るにしたがって、次第に独りで飲む習慣が広がってゆく。山上憶良貧窮問答歌」にある貧しい庶民の独酌や、大伴旅人の独り飲む酒の歌から語り起こし、主にページが割かれているのは江戸時代の庶民の晩酌の様相である。

 関連情報としての油の生産にも話が及ぶ。江戸時代になると油の生産量が増え、比較的安価な照明を庶民も利用できるようになった。これが晩酌に関係する。暗くなるとさっさと寝てしまう生活よりも、夜も灯りの元で起きている生活の方が、晩酌の習慣も普及するというものである。

 様々な肴でもって晩酌を愉しんでいる江戸人の生活ぶりを読んでいると、どうも飲みたくなってしょうがない。いい具合にもうすぐ正月だから、ちょいと肴に意を用いて、燗酒で昼から飲んでやろうと思う。

●今年の読書は、たぶんこれで最後になる。明日からは厚めの短編集を手に取って、ゆっくり読んで読了は年明けに持ち越そうと思う。

●注文していた本が届いた。
『黒い獣』 渡辺啓助 盛林堂ミステリアス文庫
『映画編集者・長田千鶴子が語る 市川崑×金田一耕助の思い出』 長田千鶴子/松本健男 MM PROJECT 文庫

 後者は初版を買ってあるのだが、増補があったりカバー絵が違っていたりのアナザーブックである。

●定期でお願いしている本が届いた。前回届いた本をまだ読んでいないのに。
『奇妙な捕虜』 M・ホーム 論創社
『レザー・デュークの秘密』 F・グルーバー 論創社

 論創社のサイトには一月三十日発売と書いてあるのに、もう来るか。おやおや。