累風庵閑日録

本と日常の徒然

『料理長殿、ご用心』 N&I・ライアンズ 角川文庫

●『料理長殿、ご用心』 N&I・ライアンズ 角川文庫 読了。

 ヨーロッパ各国の一流シェフ達が、それぞれの得意料理になぞらえて殺される。犯人はかなり早い段階で読者に示されてしまうので、ミステリとしての謎はほぼない。犯行手段に特異な工夫があるわけでもない。見立て殺人とはいうもののそういう解釈もできるという程度で、外連味には乏しい。殺人事件の周辺で右往左往する、きわめて個性的でアクの強い人々を眺めて楽しむ作品であった。つまらないわけではない。全体に深刻ぶったところがなく、軽妙でサクサク読める。

●注文していた本が届いた。
『ソーラー・ポンズ、還る』 A・ダーレス 綺想社