累風庵閑日録

本と日常の徒然

『ディープエンド』 F・ブラウン 論創社

●『ディープエンド』 F・ブラウン 論創社 読了。

 主人公は新聞記者だが、味わいは私立探偵小説である。こういうタイプは久しぶりなので、それだけで新鮮。序盤は主人公の違和感の内容が読者に提示されず、機械的にページをめくるだけだったが、中盤で物語に幅と深みとが増してくると調子が出てきた。真相は割と素直で、推理の要素は薄い。主人公の推理能力は、事件よりも自身の男女関係に対して発揮されるようだ。

 ブラウンの長編を読むのは初めてである。この人、職人的な上手さを持つ作家のだろうか。知らんけど。そつなく書かれてあって、終盤のサスペンスも含めてオーソドックスな面白さがある。薄くてさっと読了できるのも嬉しい。

●ふと気付けば、この日記はこちらに引っ越してから四月で丸二年になるのであった。ご覧いただいている皆様におかれましては、いつもお付き合いいただきましてありがとうございます。

 そもそも公開日記を始めてからは、早いものでもう十二年になるのだ。引っ越す前の内容はネット上には残っていないけれども。よく続くものである。