累風庵閑日録

本と日常の徒然

謹賀新年

●新年あけましておめでとうございます。

●いつものように五時に起き、大浴場で体を目覚めさせる。朝食バイキングをたっぷり喰って、部屋に戻って乱歩の続きを読む。

●『十字路』 江戸川乱歩 光文社文庫 読了。

 表題作は面白い。展開のスリルを味わう、上出来なサスペンスである。ただ、面白いことは間違いなく面白いのだが、引っかかる要素がふたつあって、ちょいちょい気持ちが冷静になる。

 まず、作品成立の事情からして当然なのだが、乱歩らしさが希薄な点。こういう味わいを求めて乱歩を手に取った訳ではない……という想いがつきまとう。もちろん、そんなことは作品の質とは何の関係もないのだ。単純に作品そのものを楽しめばいいのに、わざわざ余計なことを考えて自分で楽しみに水をさすなんてのは、損な読み方である。

 もうひとつは、約一年前に神保町シアターで映画「死の十字路」を観たこと。小説は読み終えるとすぐに大方の内容を忘れてしまうので、再読でも楽しめる。ところが映像作品は印象が強いから、割としっかり頭に残る。終盤までの展開が分かっているので、小説が映画の後追いでしかなく、単に内容を確認する作業になってしまう。

 これだから、小説を原作にした映像には近づきたくないのだ。小説を小説として楽しめなくなるのである。小説と映像と、分離して楽しめればいいのだが、なかなかそうもいかないようで。

●八時半にホテルをチェックアウト。ひとまず上野まで戻り、元日から開いている飲み屋でちょいと一杯。いい気分で上野公園を散歩する。

●これで私の「正月」は終わった。ここからはいつもの休日である。今年の目標のようなものを書いておく。

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◆読みたい本。
晶文社ミステリを五冊
・特定作家の本を十五冊
 カー、クイーン、クリスティー、風太郎、鮎川など
・抱えているシリーズものを十冊
 「甦る推理雑誌」など
・新刊で買った文庫を十冊
・新刊で買った単行本を五冊
・古本を五冊
・論創海外ミステリをできるだけたくさん
最低でも百冊は読みたい。

◆旅行は、鹿児島と北海道とが具体的に決まっている。十一月に開催されるはずの倉敷のイベントも、当然行くつもりでいる。他にもう一回くらいは遠出をしたい。腹案としては、富山、広島、松山あたりが候補である。泊まりの温泉にも一回くらいは行きたい。できれば横溝系の旅行オフも企画したいのだが、これはどうなるか分からない。

◆レンタルDVDで、せいぜい映画を観たい。年間で四十本も観れたら上出来。